記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/5/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
溶連菌とは、正しくはA群β溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌で、のどの痛みや咳といった症状を引き起こすものです。この記事では、溶連菌がどんな細菌かを紹介するとともに、感染するとどんな症状がみられるかを紹介します。
溶連菌はのどに感染する細菌です。のどに感染して炎症を引き起こす原因として、さまざまなウイルスや細菌があります。そのうちのひとつである溶連菌は、正式には溶血性連鎖(レンサ)球菌と呼ばれる細菌です。溶連菌にはいくつもの種類がありますが、ヒトに感染して症状を発するものはA群β溶血性連鎖球菌とよばれるものがほとんどです。
溶連菌はのどの症状だけではなく、中耳炎や副鼻腔炎といった耳や鼻の炎症を起こしたり、皮膚の炎症を起こすこともあります。また、肺炎や菌血症といった、全身に関わる病気につながることもあります。幼稚園・保育園から小学生くらいの子供での発症が多くみられますが、乳幼児や大人でも感染する可能性があります。また、一度感染したからといって安心はできず、再び感染する可能性があります。
溶連菌の感染経路のひとつは飛沫感染です。感染した人の唾液や鼻水といった分泌物が、日常的な咳やくしゃみ、会話などで飛び散ることで、周りの人が菌を吸い込んで感染します。また、感染した人と顔を近づけるなど、密接に接触することでも感染します。直接口をつけた食べ物や、タオルやコップなどの物品も注意が必要です。そのため、園や学校で集団感染したり、きょうだいや親子間で感染したりといったことが起こります。
溶連菌の症状は発熱とのどの痛みが代表的です。また、全身のだるさや嘔吐、頭痛や腹痛、顎の舌から首にかけてリンパ節が腫れるといった症状があらわれることもあります。いわゆる風邪症状に似ていますが、鼻水や咳は出ません。
そのほかイチゴ舌という症状が特徴的とされています。舌の表面が白い苔状になったのちにツブツブができ、この状態がイチゴに似ていることからイチゴ舌と呼ばれます。また、全身に発疹ができることもあります。
溶連菌はのどの炎症である咽頭炎や扁桃炎だけではなく、耳に炎症が起こる中耳炎や、鼻の奥に炎症が起こる副鼻腔炎を引き起こすこともあります。ほか、皮膚の症状が強くあらわれたり、肺炎や菌血症といった全身状態に関わる疾患につながることもあります。自己判断はせず医師や薬剤師の説明を受けて、しっかり治療することが大切です。
溶連菌の治療では、菌を体内からなくすために抗生物質を使います。薬を飲み始めると数日で熱が下がり、のどの痛みも改善してくるでしょう。しかし、抗生物質の服用期間は、薬の種類によって5~10日間とされています。なぜなら、症状がなくなってきても、体の中には菌が残っている可能性があるからです。少量の菌が残っているのに薬を飲みきらずに止めてしまうと、心臓や腎臓に合併症を起こす可能性があるため、処方された薬はすべて飲み切ることが大切です。
溶連菌の合併症で代表的なものとして、次の2つがあります。
溶連菌は、溶血性連鎖球菌という細菌によって引き起こされ、発熱やのどの痛みが特徴的です。幼稚園や保育園から小学生くらいまでの子供に多い病気ですが、乳幼児や成人に起こらないわけではありません。治療では抗生物質が使われますが、指示通りに飲みきらないと合併症のリスクもあります。特にお子さんには症状が落ち着いても薬を飲んでもらうよう、大人がしっかり見守ることが大切です。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。