記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/4/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
突発的に起こり、多くの人を悩ませているこめかみがズキズキするような頭痛。一般的に「片頭痛」と呼ばれるこのような頭痛は、体質や天候によるものと考えられがちですが、実際には何が原因で起きているのでしょうか。今回は、こめかみが痛む頭痛の原因や適切な対処法などについて解説していきます。
こめかみから目の奥にかけてがズキズキ、脈にあわせるように周期的に痛み、吐き気を伴うような頭痛のことを「片頭痛」と言います。症状の出方には個人差がありますが、発作的に痛みが始まることと、一度痛みが出始めると数時間~数日痛みが続くところが、片頭痛を発症する人に共通する特徴です。
上記のほかに、片頭痛特有の症状・兆候として以下のようなものもあります。
なお、疾患名に「片」という字がついていますが、必ずしも痛み症状が頭の片側のみに現れるわけではありません。人によっては頭の両側が痛む場合もあります。
片頭痛発症の原因ははっきりとはわかっていませんが、脳の血管の収縮・拡張と、三叉神経(さんさしんけい)への刺激が原因ではないか、と考えられています。
私たちの血流は通常、脳から分泌される「セロトニン」という神経物質の作用により、血管を適宜収縮・拡張させて、適切な量を保っています。しかし、何らかの原因でセロトニンが大量放出された後、さらに枯渇状態になると、一時的に急激な脳血管の収縮が起きた後に、一気に拡張して血流が増加することになります。
血流増加により急激に広がった脳血管は、周囲にある三叉神経を圧迫して刺激し、三叉神経が痛みの原因物質を放出することで、片頭痛が起こると考えられているのです。
なお、このように片頭痛を起こす、脳血管の急激な拡張が起こる直接の原因は人によって異なりますが、以下のようなことがきっかけで起こるケースが多いとされています。
片頭痛によるズキズキした痛みが発生したときは、以下のような対策をとることで、痛みを改善できます。試してみてくださいね。
適切な対策をとっても痛みが軽減されない場合は、薬を服用するのも一案です。片頭痛には薬物療法が有効とされていて、一般的には血管を収縮させ、三叉神経にも作用して症状を改善するトリプタン製剤が使用されています。トリプタン製剤には錠剤、注射薬、点鼻薬など種類があり、医師の判断でいずれかが選択されます。
また、目の前のチカチカなど片頭痛の前兆症状を感じた段階で飲む予防薬もあります。片頭痛の予防薬としては、抗てんかん薬やカルシウム拮抗薬、β遮断薬などが処方され、これらは医師の指示に従って一定期間服用することで症状の改善が見込めるものです。ただし、片頭痛の予防薬は、基本的に頭痛発作の頻度や日数が多い方や、寝込むほど痛みの程度が重い方にだけ処方されるものです。
一般的に、吐き気を伴いこめかみのあたりから目の奥にかけてズキズキと痛む症状は、片頭痛の可能性が高いと考えられます。片頭痛の場合は、痛む部分を冷やし、部屋を静かに暗くして安静に過ごすことで、症状が改善します。しかし、痛みが左のこめかみに集中していて、一緒に手足のしびれや言語障害、複視の症状が出ているときは要注意です。脳梗塞や脳出血を起こしている可能性がありますので、すぐ病院に行きましょう。