記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/5/8
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
中年以降の病気、というイメージが強い四十肩(肩関節周囲炎)、実は20~30代の人でも発症する可能性があることをご存知ですか?この記事では、四十肩のサインとなる痛みや発症する原因、そして治療法について解説します。
「四十肩」とは、中年以降に特に多くみられる、肩関節や周辺の筋肉、その他の組織に炎症など何らかの障害が起こった状態で、一般的には「肩関節周囲炎」と診断されます。原因は、主に肩関節を構成する骨や筋肉、じん帯などの組織が、老化、肩の打撲やケガのダメージの蓄積などによって炎症や変性を起こすためとされていますが、はっきりとはわかっていません。
症状には個人差が大きく、おおむね「急性期」「回復期」「慢性期」の3つに分類されていますが、急性期では、炎症を起こした筋肉や関節が安静にしていても痛み、腕を動かした後には夜間に痛みが激しくなって、歯の痛みのようなズキズキとした腕の痛みで眠れなくなる場合もあります。痛みは腕全体に広がり、むくみを起こすこともあります。
最初は何となく肩が引っかかる気がする程度の異変でも、単なる肩こりとは違ってだんだん痛みが強くなり、腕が上がらないなどの動きづらさがあらわれ、日常生活がままならなくなることも少なくありません。
四十肩は、中年以降だけでなく、20~30代など、幅広い年代に発症する病気です。家事や育児、パソコン作業などの影響で起こったり、運動不足であるにも関わらず無理に動かして負担をかけ続けることで発症する場合もよくあります。
日常生活で常に肩関節を持ち上げる動作の多い人が関節内の摩擦刺激から炎症を起こしやすくなったり、逆に、あまり動かさないために関節が固まりやすくなって年齢とともに軟部組織の弾力性が低下して発症する人もいます。四十肩は、肩関節の使い過ぎでも、動かさな過ぎでも起こり得ます。
ただの肩こり、と見過ごされがちですが、痛みが強くなって動かしにくくなる急性期や、症状の強い人は、放置すると炎症を強めてしまったり、場合によっては肩の周囲の骨や筋肉を結びつけている筋肉の腱である腱板が損傷する「腱板損傷」や切れてしまう「腱板断裂」などの重大な症状を引き起こしてしまう恐れがあります。
強い症状が続くなら、早目に医療機関で受診しましょう。腱板に石灰が沈着して痛みを起こす「石灰沈着性腱板炎」である可能性や、痛みがなくても肩が上がらない場合には頚椎の神経障害である可能性もあります。
そのほか、胸痛や腹痛、背中の痛みをともなう場合や、病院で手当てを受けてもなかなか治らないといった場合は、狭心症や心筋梗塞などの内科的な重大な疾患が原因となっている場合もあります。四十肩だと自分で安易に判断せず、病院できちんと診察してもらうことが大切です。
四十肩は中年以降に特に多くみられますが、20~30代での発症も多い病気です。ただの肩こりと見過ごされがちですが、だんだん痛み強くなり腕が上がらなくなる、寝ている時にも痛むといった症状がある場合は、骨や筋肉を結びつけている腱を損傷したり、頚椎の神経障害、その他内科的な疾患が原因となって症状があらわれている可能性もあります。早目に医療機関で受診するようにしましょう。