記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/25
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
陰部は下着に覆われているので蒸れやすく、汗や汚れなどによってかぶれたり、かゆみが出たりすることもあります。このような症状に見舞われたとき、病院に行くのはちょっと恥ずかしいから市販薬で治したい、と思うかもしれません。この記事では、陰部のかゆみを引き起こす原因とともに、市販薬で治せるのはどんな場合かを解説します。
陰部は、常に覆われて湿度が高いため蒸れやすかったり、汗や汚れがたまりやすい場所です。この部分にかゆみが起こる原因として、大きく2つに考えられます。
ひとつは「かぶれ」で、主に下着など衣服による締めつけや擦れ、蒸れ、乾燥など外部からの刺激による炎症です。体質に合わないコンドームなど特定の物質に接触して起こるアレルギー性のものもあります。
もうひとつは細菌、ウイルス、真菌(カビ)などを病原体とした「感染症」です。感染症には、ウイルスにより強い痛みをともなう水泡や潰瘍ができる「性器ヘルペス」、細菌により尿道に不快感やかゆみや分泌物がでる「性器クラミジア」、原虫の感染による無症状の「腟トリコモナス症」、真菌によりペニスの先端にかゆみが出る場合がある「性器カンジダ症」や性器から肛門、太ももにかけて赤い発疹と強いかゆみの出る「いんきんたむし」、吸血昆虫の寄生により陰毛周囲に強いかゆみが起こる「毛じらみ症」などがあります。
陰部の皮膚はわずかな刺激でもかゆみが起こりやすいだけでなく、かくと皮膚が傷ついてさらに症状が悪化します。このため、かゆみを抑えてかかないようにすることが大切です。
原因がかぶれや湿疹などの一時的な皮膚トラブルであれば、市販薬が有効な場合もあります。男性向け市販薬には「デリケア®︎M’s(エムズ)」などがあり、サラッとしてべたつかず、ℓ-メントール、ジフェンヒドラミン塩酸塩が爽快感でかゆみを素早くしずめてくれます。また、グリチルレチン酸が炎症を、イソプロピルメチルフェノールが雑菌の繁殖を抑え、トコフェロール酢酸エステルが血行を促進して回復を早めかゆみの悪循環を抑える効果が期待できます。
ちなみに、同様の効能を持つ女性向け市販薬として、リドカインがかゆみをすばやくしずめる「フェミニーナ®︎軟膏S」があります。
いんきんたむしやカンジダなど真菌の感染などが原因の場合には、上記の市販薬などを塗ると逆にカビが増え症状を悪化させてしまいます。乾燥による皮膚炎などにカンジダがついてかゆみを起こすことも多くみられますが、性器カンジダ症の診断は皮膚科医でなければできず、症状だけで自己判断することはできません。
そのため、カンジダが原因の場合、再発時以外は市販薬の購入は認められていません。ただし、診断された時と同じような症状が頻繁にあらわれるといった場合にのみ、医薬品を直接購入して自己治療することも可能です。
陰部のかゆみにはいくつかの原因があり、原因によっては市販薬の使用が逆効果を生むこともあるため、なかなかかゆみが治まらない、長引く、発疹などもみられるといった場合には、皮膚科で受診・検査するようにしましょう。
男性の陰部のかゆみの原因は、大きく「かぶれ」と「感染症」の2つに分けられます。かぶれが原因であれば、「デリケア®︎M’s」などの市販薬が効きますが、感染症の場合には逆効果になる場合もあります。かゆみが長引いたり発疹などもある場合は、皮膚科で受診するようにしましょう。