記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/5/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
飲み会の真っ最中に薬を飲まなければならないことを思い出したとき、今すぐ飲んでしまいたい気持ちにかられますよね。でも、目の前にお酒しかないとき、お酒で薬を飲んでもいいのでしょうか。また、忘れないように…と思ってお酒を飲んですぐに薬を飲んでもいいのでしょうか。この記事で解説したいと思います。
飲み会の最中に薬を飲まなければいけないことを思い出したとき、お酒で薬を飲んでいいものか、迷ったことがあるかもしれません。結論から言いますと、お酒でお薬を飲んではいけません。
お酒も薬も、摂取すると肝臓で分解されます。肝臓は薬よりアルコールを先に分解するため、薬の分解が遅くなって効果が出るのが遅くなったり、副作用が強く出てしまったりすることがあります。特に、眠気や精神機能の低下が副作用として強くあらわれる傾向があります。薬は必ず、水やお白湯などで飲むようにしましょう。
また、お酒を飲んだ後すぐに薬を服用することも好ましくありません。薬の効果が、薬の開発時に想定したものよりも強く出てしまう恐れがあるためです。
付き合いなどでお酒を飲まなければならず、その後で薬を飲む必要がある場合は、時間を空けて服用してください。もし、会社勤めの方や、事情があって指定された時間に薬を飲むことが難しい場合は、薬剤師が柔軟に対応してくれることもありますので、一度相談してみるのもよいでしょう。
お酒で薬を飲んではいけないもう一つの理由がお酒と薬との相互作用です。
お酒と相互作用を起こす薬には、睡眠薬、抗うつ薬、抗てんかん薬などが該当するベンゾジアゼピン系薬、かぜ薬、花粉症治療薬、睡眠改善薬などが該当する抗ヒスタミン薬、アセトアミノフェンを含む解熱鎮痛薬、糖尿病治療薬などがあります。
これらの薬をお酒と一緒に服用すると、アルコールによって薬剤の血中濃度が高まり、作用が強くなりすぎてしまう恐れがあります。特に中枢神経抑制作用が増強するので、眠気・精神運動機能低下が顕著にみられます。反対に、普段から大量にお酒を飲んでいる方の場合は、薬剤の効果が十分得られない可能性があります。
このほか、セフェム系の抗生物質や一部の抗がん剤では、アルコールの代謝に影響を及ぼすことによって、頭痛、嘔吐、顔面紅潮など不快な作用が増強する可能性があります。また、狭心症治療薬の場合は血管拡張作用による起立性低血圧や失神が起こる恐れがあります。
お酒で薬を服用すると、薬の作用に影響が及んで思わぬ副作用がみられたり、反対に薬の効き目が悪くなって期待した効果が得られない可能性があります。このような影響はお酒を飲んだ後に薬を服用したときにもみられます。もし、会社の付き合いや会食などでどうしてもお酒を飲まなければならないときは、時間をあけて服用するようにしてください。また、医師・薬剤師の指示通りに薬を服用するのが難しい場合は、処方薬をもらうときに薬剤師にその旨相談してみるのもおすすめです。