記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ブロック注射は痛みに直接はたらきかけ、根本的な改善を図る治療法です。そこで今回は、ブロック注射の種類や効果などをご紹介します。
ブロック注射とは、局所麻酔薬やステロイド剤を神経や神経のまわりに注射して痛みを軽減する治療法です。痛みを感じる経路をブロック注射により遮断することで、痛みを緩和させることを目的とします。ただし、一般的には一度のブロック注射で完治するものではなく、場合によっては何度か注射をし、薬物療法などと併用して進めていくと考えられています。
ブロック注射の特徴のひとつは、痛みのある部位にのみはたらきかけることができるため、効率的に薬液を届けることができる点です。また、痛みを感じている神経にブロック注射をして痛みが軽減するかを確かめることにより、その神経が痛みの発生に関わっているかどうかも確認できる役割ももっています。また、顔面神経麻痺やアレルギー性鼻炎、痛みが生じない病気などもブロック注射をすることで症状の改善が期待できます。
主なブロック注射として、以下のようなものがあります。
頭や肩などを司る交感神経の集まりを星状神経節といい、喉のあたりに左右一対あります。上半身の血流を改善し、神経に酸素や栄養を十分に行きわたらせることによって痛みの軽減を図ります。
脊髄を包む膜である硬膜外腔にステロイド剤や局所麻酔薬を注入し、脊髄神経を麻痺させることで痛みを取り除く方法です。
脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどで痛みがある場合に使用されることの多いブロック注射です。注射の痛みが少なく、効果が得られやすい、また合併症が少ないことなどが多く用いられる理由といわれています。
椎間板に局所麻酔薬やステロイド剤を注入し、椎間板が原因となっている腰痛の改善を目的としています。
仙骨裂孔ブロックや硬膜外ブロックなどで改善がみられないような強い痛みを軽減させるために行います。
ブロック注射の効果は、一時的な痛みの軽減だけではないと考えられています。ブロック注射による麻酔を行うことによって興奮している神経を沈め、「痛みの悪循環」を止めるはたらきがあるためです。痛みの悪循環とは、痛みによって神経が興奮し、筋肉や血管が緊張することによって血行が悪化した結果、痛みが改善されないという状態です。ブロック注射はこの悪循環を断ち、血行を良くすることで、麻酔が切れた後も痛みを緩和できると考えられます。また、繰り返しブロック注射を行うことによってより症状の改善が期待できます。
ブロック注射は一時的に痛みを緩和するわけではありません。痛みの悪循環を断ち、痛みを根本から治すための治療法といわれています。ブロック注射を行う際は、主治医の説明をよく聞き、治療に臨みましょう。