記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/4/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
お薬手帳を持っていますか?名前の通り、お薬を処方してもらった際に情報を記載するための手帳です。最近では、薬局でキャラクターや写真入りのもの、デザイン性の高いものなど、使うのが楽しくなるお薬手帳も増えています。
とは言っても、普段持っている手帳に比べ、お薬手帳は持ち歩くのをついつい忘れてしまいがちです。そこで、忘れることの少ないスマホのアプリから使えるお薬手帳をご紹介します!
「お薬手帳」とは、自分が使っている薬の名前や量、日数、使用法などを記録しておける手帳です。主に以下のような内容を記録しておくと便利です。
処方内容は、最近ではお薬手帳に貼るためにシールで発行してくれるところや、処方の際にお薬手帳を一緒に提出すれば薬剤師さんが貼ってくれるところもあります。調剤日や薬局名、処方箋を発行した医療機関名、薬の名前、用法・用量、日数、ジェネリック医薬品かどうかなど、必要な情報が網羅されています。
また、市販薬の場合はシールはありませんが、自分で記入しておくとその後に医療機関を受診したり、他の薬剤の処方を受けたりする際に安心です。血液検査の数値、身長・体重を記録しておくのもおすすめです。
お薬手帳を使うと、以下のようなメリットがあります。
お薬手帳を持っておく最大のメリットは、自分の薬に関する情報が正確にわかるということです。旅行に行ったときや災害に遭ったときなど、自分の飲んでいる薬のことを覚えていなかったり、問い合わせをしたくてもすぐにできない状態になることがあります。このようなときでも、お薬手帳があれば現地の医師や薬剤師に飲んでいる薬の情報を正確に伝えることができます。
また、「薬剤服用管理指導料」という費用が安くなることがあります。薬局で薬を調剤してもらうときには薬の説明を受けますが、お薬手帳を持参するとこの指導料が120円安くなることになっています。これは保険適用外の場合の料金ですから、医療費の自己負担が1割の人では10円、3割の人では40円の差額が生まれます。
しかし、この「薬剤服用管理指導料」が安くなるのは、「6カ月以内に同じ薬局で薬を処方してもらったとき」かつ、「医療機関の門前薬局(医療機関の近くにあってその医療機関の処方箋を主に扱う薬局)ではない」ことが条件です。つまり、「処方を受けた医療機関と隣接していない薬局で何度も処方してもらう人」であれば、指導料が安くなる恩恵を一番受けることができます。こうした人は、ぜひお薬手帳を作っておきましょう。
お薬手帳は紙の冊子だけでなく、アプリで管理できるサービスも登場しています。お薬手帳はどうしても忘れてしまうという人には、いつも持ち運ぶスマートフォンにお薬手帳も入れてしまうのがおすすめです。お薬手帳アプリはさまざまなものが出ていますが、参考までに「日薬eお薬手帳」をご紹介します。
「日薬eお薬手帳」は「公益社団法人日本薬剤師会」が提供している無料アプリです。スマホ専用のため、残念ながらガラケーからは使えません。
お薬の情報は手入力だけでなく、薬局で印字されるQRコードの読み込みにも対応しています。また、スマホをかざして通信可能なNFC機能(おサイフケータイなどの機能)に対応している薬局では、店頭の機器で薬の情報を読み込むこともできます。サーバーに薬の情報を保管しておくと、指定した薬局で見てもらったり、カメラで撮影した処方箋の画像を指定した薬局に送信できるのも便利なポイントです。
過去のお薬情報を探したいときは、カレンダーや一覧形式で探す方法と、期間を指定して探す方法があります。また、家族全員のデータをまとめて管理できるため、お子様や介護を受けている人のデータなどもまとめて登録しておけば、緊急時にもスマホひとつで対応できておすすめです。
アプリ版のお薬手帳の場合、お薬手帳の読み取りやすさはスマホの画面の大きさに依存します。そのため、小さい画面で薬剤師や本人が確認しづらくなることが考えられます。また、多くのアプリが存在するため規格が統一されておらず、記載されている場所がわからないため内容が十分に把握できない可能性もあります。
前述のデメリットをひとつ解消してくれるのが、「e薬Link®︎」です。「e薬Link®︎」とは、電子お薬手帳相互閲覧サービスのことで、異なるお薬手帳アプリであっても、その内容を相互に閲覧することを可能にした仕組みです。つまり、このシステムに対応しているアプリや薬局であれば、アプリそのものを見せるのではなく、薬局側の端末で必要な情報を確認することができるため、規格が違っても問題なく使うことができるのです。
したがって、万が一、旅行先で急病にかかったなどの緊急時であっても、患者さんの同意があれば、紙のお薬手帳のように誰でも同じように薬の内容が確認でき、いつもと違う薬局でも問題なく使うことができます。
ただし、別の薬局に行った場合には処方箋を出す際にアプリで十数桁のワンタイムコード(一回限りのパスワード)を表示して伝える必要があります。患者さんの個人情報を守るために必要なコードですから、薬局で処方を受ける直前にあらかじめ表示しておくと良いですね。
使いたいな、と思ったアプリが「e薬Link®︎」に対応しているかどうかは、e薬Link®︎に対応している電子お薬手帳(一覧)で確認できます。さまざまな会社や薬局がアプリを作っていますので、ぜひ、行きつけの薬局のものや、自分に合ったものを選んで使いましょう。
お薬手帳をいつも忘れてしまい、たくさん作ってしまったという人は、ぜひスマホに「e薬Link®︎」に対応しているお薬手帳アプリを入れておくのがおすすめです。紙の手帳を持ち歩く手間がないだけでなく、薬局に行くときにもスマホであればまず忘れないことが大きなメリットです。
お薬手帳は飲み合わせや副作用なども含め、大切な情報が詰まっています。万が一のときに、備えて持っておくと安心です。