記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/5/9 記事改定日: 2020/2/4
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
立つ、歩くなどの他にも、足は体全体のバランスを支えるために必要な器官です。足が痛いと何をするのにも集中力が欠けたり、ちょっとした動作にも支障が出たりしてしまいます。できれば早く治療してしまいたいものですね。
そこで、この記事では足の指がズキズキ痛い場合に考えられる原因と、受信すべき診療科についてご紹介します。
足をどこかにぶつけたり、踏まれたりしたなどのはっきりとした心当たりがないにも関わらず、足の指がズキズキと痛くなることがあります。
ぶつけた、踏まれたなどの外科的な要因であれば整形外科を受診すれば良いのですが、その他に考えられる原因として、何らかの疾患や骨・爪などの形に異常が起こっている可能性もあります。
足のどの部分にどのような痛みが起こっているかによって、それぞれ原因が異なります。そこで、それぞれの痛みや部位別に具体的な原因を見ていきましょう。
足の中指と薬指の間に痛みやしびれを感じる場合、「モートン病」という疾患を発症している可能性があります。
ただ、ヒリヒリ・ズキズキとした痛みだけでなく、刺すような痛みや焼けるような痛み(灼熱痛)を感じる人もいますし、痛みを感じる部位が人差し指と中指の間、薬指と小指の間であることも多く、個人差があります。
モートン病の原因は、中腰やハイヒールを常用するなど、つま先立ちの姿勢が多いことによる足への負担が原因とされています。
負担は短期間の一時的なものではなく、長期間に渡って繰り返し生じる負担が原因であるため、毎日同じようなつま先立ちの作業をしたり、ハイヒールや先の細い靴を履き続けたりして足の神経が圧迫されて傷むことで起こります。
中高年で発症する人が多いですが、20~30代でも発症する場合があります。
親指の関節が腫れて痛みを感じる場合、「痛風」を発症している可能性があります。
何の前触れもなく、突然激痛が起こるのが特徴で、歩けないほどの痛みが2~3日ほど続きます。この痛みは突然起こることから、「痛風発作」とも呼ばれています。
その後、痛みが徐々に引き痛みのない時期が続きますが、診断や治療を受けないまま放置していると同じような発作が繰り返し起こります。
発作を繰り返すたびに、症状や病態は悪化していきます。
痛風は、「尿酸塩」という結晶が関節や腎臓に溜まり、周囲の組織を刺激することで強い痛みを引き起こす疾患です。
尿酸は体の新陳代謝によって発生する老廃物です。通常は体内の尿酸は産生されたぶん排出され、一定の量になるようにバランスが保たれていますが、何らかの原因で尿酸が過剰に産生されたり、排出機構が上手く働かなくなると、体内に尿酸が異常に増えてしまいます。
増えた尿酸は血中に溶け込み、「高尿酸血症」という状態を引き起こします。
血中の尿酸濃度が7.0mg/dLを超える「高尿酸血症」の状態が続くと、やがて血中に尿酸が溶けきれなくなっていき、尿酸が結晶化して尿酸塩となって関節や組織に溜まっていきます。
関節に溜まった尿酸塩には免疫細胞が反応して炎症を引き起こし、痛風発作の激痛を引き起こしてしまいます。
親指の付け根が曲がっていて痛む場合は「外反母趾」の可能性が考えられます。
外反母趾とは、一般的な足の形と比べて足の親指が大きく人差し指の方に曲がって変形している状態のことです。
親指が外側に向いた結果、足首側についている「第一中足骨」という骨の先端が内側に飛び出し、飛び出した部分に炎症を起こして痛みが出ます。
進行すると親指がさらに内側にねじれたり、人差し指の脱臼を引き起こしたりすることもあります。
外反母趾は多くの場合、ハイヒールや幅の狭い靴、つま先が細い靴などを履いて足の親指が圧迫されることで起こります。ただし、もともと外反母趾になりやすい体質的な要因があったり、先天的な原因疾患によって起こる場合もありますので、ハイヒールを履かない人でも足の骨が曲がって痛いという場合は注意しましょう。
爪の周囲が腫れていて痛みを感じる場合、「陥入爪(かんにゅうそう)」「爪周囲炎」「巻き爪」などの症状である場合があります。それぞれ以下のような原因によって起こります。
いずれも爪の切り方が正しくない場合に起こりやすく、痛みだけでなく発赤や腫れを伴うことが多いです。ひどくなると慢性的な傷になり、傷から感染を引き起こしたり細胞の壊死につながりかねません。
足の指の痛みは、糖尿病によって引き起こされることもあります。これは、糖尿病によって全身の血管がダメージを受け、そこから合併症として足や手などの末端の神経が傷むことで感覚異常を引き起こす症状です。
痛みのほかにしびれなども起こることがあり、特に手よりも足に多く見られます。手や足に以下のような症状がみられる場合、糖尿病の可能性があります。
糖尿病によるこれらの症状は、初期には無症状ですが、進行してくると足の先や足の裏のしびれや痛みなどの軽い不快感を感じるようになります。
さらに進行すると手にも痛みやしびれが現れ、痛みに伴って冷えなどの症状も現れることがあります。放置しておいて治ることはありませんので、痛みやしびれが続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。
糖尿病の人が全員発症するとは限らない症状ですが、高血糖の状態が続いていたり、発症後何年も経過している、糖尿病の他にも脂質異常症や高血圧などの生活習慣病を併発しているなどの場合には神経症状を引き起こすリスクが高まります。
また、病態が進行すると感覚神経だけでなく、循環器・呼吸器・消化器などの全身の臓器を司る自律神経にも影響することもあります。
関節リウマチは手の指が痛むというイメージが強いかもしれませんが、15%以上の人が足の指にも炎症が生じ、痛みに悩まされいるといわれています。
痛みは手指に引き起こされる関節炎と同様、朝にこわばりを伴う痛みを生じやすいのが特徴です。
足の親指に炎症が生じると、外反母趾や開帳足(足底のアーチ構造がなくなった状態の足)を引き起こすことがあり、進行すると足の指を形成する関節が脱臼を起こして足の先が反りかえるように変形します。
このような変形が生じると歩行がスムーズにいかなくなるばかりが、歩行のたびに強い痛みを感じるようになります。
足の指の痛みの原因は、外反母趾やモートン病などの外科的な要因から、痛風や糖尿病などの内科的な要因までさまざまです。症状の出方や症状の出る部位である程度判断できる場合もありますが、自己判断ができない場合も少なくありません。
自然治癒するものばかりではありませんし、放置していると重症化するものもあります。足の痛みがいつまでも良くならない、何度も繰り返す、ガマンできないほどの痛みがある場合は、できるだけ早めに病院を受診しましょう。