薬のことならなんでも相談できる「かかりつけ薬剤師制度」とは

2019/3/1

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

病気や体の不調を感じたときに気軽に相談できる「かかりつけ医」は、健康上の不安を相談できる身近で頼もしい医師を指します。今回紹介したいのは、薬についてなんでも相談できる「かかりつけ薬剤師」です。薬のことでお悩みを持っている人は、かかりつけ薬剤師制度とはなにか知っておきましょう。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

かかりつけ薬剤師制度ってどんなもの?

かかりつけ薬剤師とは、ひとつの薬局で継続的に、患者さんが使用している薬を把握したり相談にのってくれる薬剤師を指します。薬に関する情報や使用法の管理を「お薬手帳」などを用いてサポートしてくれます。毎回同じ薬剤師が対応してくれますので、薬を購入するときの心強いパートナーのような存在です。医師が処方した薬のほか、市販薬や健康食品、サプリメントの相互作用なども相談することができます。

かかりつけ薬剤師ができること

  • 薬の成分の確認
  • 飲み合わせ管理
  • 薬の重複チェック
  • 飲み残しや残量チェック
  • 副作用の可能性の説明
  • 市販薬や健康食品などによる相互作用の説明

かかりつけ薬剤師制度は、平成28年にスタートした新しい制度です。患者さんからすれば、薬の種類や成分を十分に理解することは難しく感じることが多いと思います。しかし、使用する薬については自分自身できちんと把握しておきたい情報でもあります。薬についてひとりで理解するのは大変ですが、かかりつけ薬剤師のサポートのおかげで、薬に関する情報管理をきちんと行いながら患者さんの負担を軽減できると期待されています。

また、健康上の問題はプライバシーに関する事柄なので、「あまりたくさんの人には相談したくない」と感じている方も、ひとりのかかりつけ薬剤師に相談をまとめることができます。

かかりつけ薬剤師を持つと電話で相談に乗ってもらえるって本当?

薬には効果が期待できるほか、副作用の可能性や危険な飲み合わせもあります。かかりつけ薬剤師を持つと、薬局に直接行かずに電話などで、薬を使用する上での不安や疑問を相談できる場合もあり、手厚いサポート体制がとられています。

かかりつけ薬剤師によるサポート体制

薬の管理から体調変化までを確認
使用している薬や処方された時期は、ひとりのかかりつけ薬剤師に相談します。薬の情報をまとめて管理することで、薬の飲み合わせや重複、相互作用の確認がスムーズにできます。また、服薬後にあらわれた効果や体の変化をかかりつけ薬剤師に伝えると、注意すべき点がないか確認してくれますので、気になる症状があるけれど病院を受診するかどうか迷っているとき、力強い味方になってくれます。
電話や自宅で相談受付
休日や夜間など、開局時間外でも相談に応じている薬局があります。急病のときでもかかりつけ薬剤師なら対応してくれる場合があるので安心です。必要なときは時間外でも処方箋に基づいて薬を処方してくれます。在宅医療でなかなか外出できない人も、かかりつけ薬剤師が自宅訪問することもありますので、対面での相談が可能となります。
医療機関との連携サポート
かかりつけ薬剤師が医師からの処方箋を確認し、必要に応じて医師へ問い合わせや提案を行います。服薬後の体調の変化や患者さんから受けた健康上の相談によっては、かかりつけ薬剤師が医療機関の受診をおすすめすることもあります。地域の医療機関と連携している薬局もあります。

かかりつけ薬剤師になってもらうための手続きは?

かかりつけ薬剤師は薬局での指名が必要です。薬剤師のなかでも、国が定めた要件を満たしている人がかかりつけ薬剤師になれます。

かかりつけ薬剤師の探し方はさまざまです。いつも訪れている薬局で顔見知りになった薬剤師であったり、薬の相談会を開催している薬局で質問しながら探す方法などがあります。

かかりつけ薬剤師の手続きの例

  1. 国が定めた要件を満たす薬剤師のなかから、かかりつけ薬剤師を1名探す
  2. 薬局で薬剤師を指名する
  3. 薬局で同意書に署名する

かかりつけ薬剤師の要件

  • 薬剤師としての薬局勤務が3年以上
  • その薬局に週32時間以上勤め、かつ1年以上在籍している
  • 医療に関する地域活動に参画している
  • 薬剤師研修認定等を取得している

かかりつけ薬剤師をお願いしたら、どのくらいお金がかかる?

通常は薬局で薬を購入するときに薬剤服用歴管理指導料がかかります。かかりつけ薬剤師制度では薬剤服用歴管理指導料に代わって「かかりつけ薬剤師指導料」が発生します。医療費が3割負担の場合のかかりつけ薬剤師指導料は60円または100円程度です。

おわりに:かかりつけ薬剤師のサポートで、薬に対する不安を解消しよう

薬は病気や体の不調を和らげてくれるものですが、副作用や飲み合わせによっては体に害を及ぼす危険性があります。飲んでいる薬の成分や飲み合わせ、使用しているうちに感じた疑問などは、信頼できるかかりつけ薬剤師に相談し、不安や疑問を解消するのがおすすめです。薬剤師で転職活動を考えている方にとっても、やりがいの獲得やキャリアアップにつながる場合がありますので、ぜひ目指してみてください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

かかりつけ薬剤師(1) 薬の相談(2) かかりつけ薬剤師制度(1) 薬剤師の仕事(1)