記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
子供が「耳が痛い」と訴える場合、そのほとんどが急性中耳炎と言われています。急性中耳炎は小学生ぐらいまでの子供がよくかかる病気で、特に0~3歳児が多いのが特徴です。今回は急性中耳炎の原因や対処法についてご紹介します。
急性中耳炎は、鼓膜の内側の「中耳」に細菌が付着して炎症が起きる病気です。
風邪などで鼻や喉に入った細菌が増え、耳管(じかん)を通って中耳に入り、耳の中が細菌に感染します。子供は風邪を引きやすいため、中耳炎にもなりやすいです。年齢が上がるにつれ、中耳炎にかかる率が下がります。
急性中耳炎になると、急激に38.5℃以上の高熱が出て、耳を痛がります。耳だれ(分泌液)が出ることもあります。0~2歳ぐらいの小さなお子さんの場合、自分で「耳が痛い」と伝えることができず、機嫌が悪くなったり、耳や耳の周りを頻繁に触ったりします。
風邪で黄色や黄緑色の濃い鼻水が続いているときは、中耳炎を併発している可能性がありますので、注意深く観察しましょう。赤く腫れた場合は抗生物質を服用しますが、症状が重い場合は鼓膜を切開して治療することもあります。
時おり、夜中に子供が突然体調を崩すことがあると思います。夜中に子供が耳の痛みを訴えた場合、耳の後ろや耳の下の首など、子供が嫌がらない場所を見つけて冷やしてあげましょう。耳の中が炎症を起こして痛みが出ている状態なので、温めてはいけません。もし、汗をかいていたとしても、入浴は控えて体をふいてあげる程度にとどめてください。
痛みを軽減させるため、子供用の解熱・鎮痛剤を飲ませます。何か食べたがるようなら、エネルギー補給にアイスクリームやゼリーといったものを食べさせてあげても構いません。
夜は冷やしてあげたり、解熱剤を服用させたりしながら様子を見て、翌朝病院で診察してもらいます。しかし、夜中に「急激な高熱でぐったりしている」「耳だれが異常に出ている」「鎮痛剤を飲んでも、激しい痛みで我慢ができない様子」といった症状が出た場合は、すみやかに救急病院に連れて行きましょう。
急性中耳炎の治療の一般的な流れをご紹介します。
鎮痛剤を飲んだり、耳の後ろや耳の下などを冷やしたりして痛みを取ります。
耳の中に膿がたまると、自然に耳から耳だれが出ます。耳の穴の中まで触らないようにして、耳の穴の外側だけやさしく拭きましょう。耳の中の膿は耳鼻科で取り除いてもらった方が安全です。
ほとんどの場合、中耳炎は抗生物質を使わずに治ります。ただし、痛み止めを飲んでも痛みが全く取れないときや、腫れが強い時は抗生物質を服用します。
抗生物質を飲み続ければ、1週間ほどで治る場合が多いですが、感染した細菌が耐性菌などの場合、入院して治療することもあります。
菌が再び耳の中に入らないように鼻汁を吸い取ります。難しい場合は耳鼻科でしてもらうと良いでしょう。急性中耳炎は鼻汁をこまめに取った方が早く治るといわれています。
熱が下がり、耳の痛みが取れるまでは入浴は控えた方が良いでしょう。禁止すべき食べ物はありません。食欲がない場合はプリンやゼリー、アイスクリームといった食べやすいものを食べさせ、ジュースやお茶などで水分を補給してあげましょう。
外耳炎とも呼ばれる「外耳道炎(がいじどうえん)」は、外耳の皮膚の中に細菌が入りこみ、炎症が起きる病気です。外耳の皮膚炎といえば分かりやすいかも知れません。
原因の多くは、耳掃除のやりすぎや爪で耳の穴の中を掻くことです。耳の中に傷が付き、そこから細菌が入って炎症が起きます。
上記のような症状が出ている場合は、耳鼻科に行って相談した方が安心です。
子供が風邪を引きやすいため、急性中耳炎にかかる確率も高いです。夜中に苦しみだしたときは、慌てずに鎮痛剤を飲ませたり、耳を冷やしてあげたりしましょう。救急病院に連れて行く場合は、先に電話で症状を伝えておくとスムーズです。
痛みや熱といった症状の激しさに驚くと思いますが、症状が軽い場合は自然に治ることもありますし、症状が重くても治療をすれば治ります。耳鼻科を受診し、医師の指示に従って薬などを飲ませましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。