ウィートグラス(小麦若葉)は体にいいの?

2017/2/20 記事改定日: 2019/9/12
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

最近、海外セレブの間で話題になっている「ウィートグラス」をご存知ですか?ウィートグラスはデトックス効果が高いので、美容と健康にいいと言われています。はたしてその話は本当なのか、この記事で解説したいと思います。

ウィートグラスとは

ウィートグラス(小麦若葉)とは、アメリカの科学者であるチャールズ・シュナベルが1930年代に発見したもので、クロロフィル(葉緑素のこと。デトックス効果や貧血予防の効果があると言われている)やビタミンA、C、E、鉄、カルシウム、マグネシウムを含んでいます

ウィートグラスの効果は?

ウィートグラスに高い健康効果があると信じる人の中には、ほかの野菜よりも栄養成分が高いだけでなく、炎症を防いだり、赤血球を作ったり、血液循環を改善する効果がある、と言う人もいます。果たしてそれは本当なのか、下記に研究結果をいくつかご紹介します。

栄養素が豊富

一般に、30mlのウィートグラスに含まれる栄養素を摂取するには、さまざまな野菜を約1kg食べる必要がある、と言われています。しかし、研究結果によると、重量で比較すると、ウィートグラスに含まれる栄養素はほうれん草やブロッコリーといった一般的な野菜に含まれるものとほぼ同じだとわかっています。

赤血球の数

ウィートグラスの効果を信じている人たちは、クロロフィルとヘモグロビン(酸素を運ぶタンパク質)は構造が似ているので、ウィートグラスを摂取するとヘモグロビンが増える、と信じています。しかし、研究結果を見る限り、ヘモグロビンが増える、という根拠をサポートできるような科学的な証拠はありません。

結腸炎の改善

2002年の小規模な研究で、潰瘍性大腸炎(結腸炎)患者が1カ月間、毎日100mlのウィートグラスのジュースを飲んだら症状が改善したことが判明しています。ただ、この研究に携わったのは21人だけだったため、ウィートグラスの効果を裏づけるような肯定的な結果が出たのはただの偶然だった可能性があります。

血液疾患の改善

「サラセミア」と呼ばれる血液疾患の患者32人を対象とした2004年の小規模な研究によると、ウィートグラスのジュースを毎日100ml、3年間毎日服用した場合、患者の半分が輸血回数が減ったことが分かりました。興味深い話ではありますが、研究結果には多くの弱点があるため、結論を確定するにはさらに実験と研究を重ねる必要があります。

おわりに:ウィートグラスが栄養面で優れているかどうかはまだわかっていません

  • 今のところ、ウィートグラスがほかの果物や野菜よりも栄養面で優れているかどうかは明らかではない
  • ほかの野菜や果物を食べても変わらないため、あえてウィートグラスを食べる必要はない
  • ただし、もしすでにウィートグラスを食べていて、その味が気に入っているなら野菜や果物が入ったスムージーにウィートグラスを加えるとよい

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