記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/4/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
薬を購入するとき、薬剤師さんから持病の有無やおくすり手帳を確認されるのは、薬の飲み合わせによるリスクを回避するためです。今回は、持病があって常用している薬のある人が薬の飲み合わせに注意すべき理由を、薬の飲み合わせ次第で起こり得るリスクとその対処法とあわせてご紹介します。
持病などのために飲んでいる薬が、ある状態で別の薬を飲むことで、それぞれの薬の効果が弱くなったり、強くなったりする状態を「薬の飲み合わせ」と言います。このように、複数の薬が影響し合って起こる作用は「相互作用」とも呼ばれ、組み合わせによっては重大な副作用が起こるす可能性があります。
薬の飲み合わせで起こる相互作用には、それぞれの薬が作用しあった結果、効き目が強くなりすぎてしまう場合と、効き目を打ち消し合って効果が得られなってしまう場合とがあります。ここからは、薬の飲み合わせで起こる相互作用について、具体例を挙げながら解説します。
似たような成分・効果を持つ薬や、肝臓で一方の薬がもう一方の薬の分解を妨げてしまうような飲み合わせの場合、薬の効き目が強くなりすぎてしまうことがあります。このような薬の過剰作用が起こると、血液や内臓に障害を起こし、命を落としかねないほどの重大な副作用を起こす恐れがあります。特に、処方薬と一緒に市販の風邪薬や解熱鎮痛剤、頭痛薬などを飲んだ場合に起こることが多いため、注意が必要です。
まったく相反する作用を持つ2種類以上の薬を飲み合わせると、お互いがその薬効を打ち消し合って十分な治療効果を得られなくなることがあります。たとえば、β遮断薬などの降圧薬とβ刺激薬など喘息の治療薬を一緒に使用すると、互いの効果が打ち消されることが明らかになっています。
また、互いの成分が結びついて体に吸収されにくいものに変化してしまうような飲み合わせも、薬の成分が吸収されないために効果が得られなくなってしまうことが報告されています。
このような飲み合わせは、過剰作用ほど深刻な状態にはならないものの、症状からの回復を妨げる要因となるため注意が必要です。
複数の症状を改善するために薬を服用する場合、同じ医師が薬を処方する場合は、飲み合わせに配慮して薬を処方するため、飲み合わせによる副作用を心配する必要はないと思います。
一方、別の病院、もしくは同じ病院に所属する別の医師から複数の薬を処方してもらう場合は、薬剤師におくすり手帳を提示して、薬の履歴を確認してもらうことで、飲み合わせによる副作用を予防することができます。
また、近年は従来の紙の手帳タイプだけでなく、スマートフォンのアプリでもお薬の履歴を管理できます。ご自身が利用しやすい方法を選んで薬の履歴を残しておき、薬の飲み合わせによるリスクを下げるよう努めましょう。
飲み合わせによるリスクは、処方薬同士の組み合わせだけでなく、処方薬と市販薬との組み合わせでも発生します。現在服用している薬に加えて市販薬も服用したいときは、必ず薬局・ドラッグストアの薬剤師さんに薬の履歴を伝えましょう。
処方薬か市販薬かによらず、複数の薬を同時期に飲む場合には、飲み合わせによる相互作用が起こるリスクがあります。似たような成分の薬を飲み合わせることによる過剰作用には重大な副作用や障害が、薬効を打ち消し合い弱めてしまう場合には、十分な病気治療が行えないリスクが出てきます。薬の飲み合わせによる相互作用のリスクを避けるには、おくすり手帳などできちんと薬の履歴をのこし、医師や薬剤師に確認してもらうことが重要です。