前頭部がズキズキする頭痛、考えられる原因は?

2019/4/22

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

頭の前のほう、おでこのあたりがなんだかズキズキする…。頭が痛くなるのは深刻な病気の前触れのときもあるので心配になりますよね。この記事では、前頭部がズキズキと痛む場合に考えられる病気を紹介するとともに、頭痛のほかにどのような症状が出てきたらすぐに病院へ行ったほうがいいのかを紹介します。

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前頭部がズキズキする頭痛、考えられる原因は?

前頭部がズキズキする頭痛があるとき、原因はいくつか考えられます。頻度が高い原因として、「緊張性頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」「副鼻腔炎」などがあります。この4つの病気の症状や原因、治療についてをご紹介します。

緊張性頭痛

「緊張性頭痛」はストレスや緊張、長時間同じ姿勢をとることなどが原因で起こる慢性頭痛の一種です。後頭部から首筋にかけて重苦しく、締め付けられるような痛みを感じます。前頭部や側頭部に痛みがあるときもあり、ひどいときは吐き気をともなうこともあります。

痛みを和らげるにはリラックスすることが効果的なので、体操などで首の筋肉をゆるめたり、肩、首の筋肉の緊張を取る飲み薬、張り薬、塗り薬などを処方されることが多いです。

片頭痛

「片頭痛」は、こめかみや目の奥、眉間、頭の片側や後頭部などが痛む慢性頭痛の一種です。頭の両側、もしくは頭全体が痛む人もいます。

頭痛が起こるタイミングも期間も、患者さんそれぞれですが、ひどいときは寝込んでしまい日常生活を送れなくなります。原因は、飲酒やストレス、またはストレスからの解放、女性の場合は月経との関連などが挙げられるでしょう。自律神経の乱れをともなうこともあり、頭痛ととも臭うとや下痢などが起こるケースもあります。また、頭痛の予兆として光る点やギザギザが見えたり、視野の一部が見えなくなったりする「閃輝暗点(せんきあんてん)」という現象がある人もいるようです。

治療は、鎮痛薬やトリプタン製剤などの薬を、作用の強さや時間などによって使い分けて行います。片頭痛を起こしやすい食品があるときには、それを避け、十分な休息や睡眠がとれるよう生活習慣も改善していきます。

群発頭痛

「群発頭痛」は、目の周りから前頭部、側頭部などが激しく痛む病気です。2~3週間ものあいだ、頭痛が繰り返し起こります。発作的な痛みなので、夜中に目が覚めてしまうこともあります。また、目の充血や涙、汗、顔のほてりなどもあります。アルコールや、狭心症の治療薬であるニトログリセリンなどが原因として考えられていますが、メカニズムは明らかになっていません

治療では、効果が認められているトリプタン薬剤を治療薬として用いたり、症状が起こったときに順酸素吸入法などを行います。

副鼻腔炎

「副鼻腔炎」は、鼻のまわりにある副鼻腔という部分にウィルスや細菌が入りこみ炎症を起こす病気です。副鼻腔には4つの部屋がありますが、眉間のあたりにある前頭洞と呼ばれる場所で炎症が起きたとき、前頭部が痛みます。副鼻腔炎には慢性と急性がありますが、前頭部の頭痛を引き起こすのは、急性副鼻腔炎です。

治療では、抗生物質や鼻の炎症を抑える点鼻薬などを使って治療します。

前頭部のズキズキに加え、まひや物が二重に見えたりしたら要注意

頭痛の原因となるものの中には、特に注意しなければいけないものももちろんあります。たとえば「脳血管障害」は、脳に血液を供給する血管に障害が生じ脳の機能が影響を受ける状態です。「脳卒中」とも呼ばれ、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの相称でもあります。頭痛があるだけでなく、言葉が出にくい、ろれつが回らない、物の見え方がおかしい、手足のまひがあるなどの症状があったら「脳血管障害」の疑いがあるかもしれません。

頭痛と結びつく危険な病気として、もうひとつ挙げられるのは「もやもや病」です。内頚動脈という、脳にとって大切な血管が狭くなっていき、脳の血流が悪くなっていきます。言語障害や手足の脱力、ものが二重に見えるなどの症状が主ですが、大人と子どもで表れるものは異なります。

どちらの病気も、麻痺や物の見え方の違和感などが表れるので、これらの症状が表れたときは早急に医療機関を受診しましょう。

おわりに:前頭部の頭痛の原因となる病気はいくつもある。中には重篤な事態に陥る病気も

前頭部のズキズキとした頭痛の原因は、「緊張性頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」「副鼻腔炎」などいくつか考えられます。頭痛に加え、まひや物の見え方の違和感などがあった場合、「脳血管障害」や「もやもや病」といった、脳の安全にかかわる重篤な病気も考えられます。すぐに医療機関を受診しましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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