結核の予防接種「BCGワクチン」は大人も受けた方が良いの?

2017/2/22 記事改定日: 2020/5/7
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

BCGワクチンは結核を予防する予防接種です。子供の頃に、腕に四角の「はんこ注射」の痕がある人もいるのではないでしょうか。
BCGワクチンは一般的に1歳未満の子供が接種するものですが、それ以上の年齢で
も受けてもいいのでしょうか。この記事では、結核の予防接種「BCGワクチン」の目的と大人のBCGワクチンの接種について解説しています。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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結核の予防接種(BCGワクチン)はいつ受ければいいの?

BCGは、満1歳になるまでに接種がするようにすすめられています。ただし、何らかの事情があってそれ以上の年齢になってもBCGを接種していない乳児に関しては、1歳以上でもBCGワクチンの接種が認められる場合があります。
一般的には、生後5か月から8か月までの間に受けることをすすめられています。

結核の予防接種は義務なの?

予防接種には、定期接種と任意接種の2種類があります。定期接種は、市区町村などの自治体が公費で行う予防接種のことで、接種を受ける「努力義務」が定められています。つまり、法的に必ず接種をしなければ罰則が課せられるという決まりはありませんが、特別な事情がない限り接種するように強く推奨されているものです。

一方、任意接種は、希望する人に行われるものであり、接種するように強く推奨されているものではありません。
結核の予防接種であるBCGワクチンは、定期接種であり、生後5か月から8か月の間に接種することが推奨されています。

結核の予防接種は大人になってからも受ける必要はある?

健康な大人の場合、基本的にはBCGを受ける必要はありません。
BCGは結核を予防する効果ありますが、100%感染を防げるわけではありません。BCG接種は、結核の重症化を防ぎ髄膜炎などに陥らないようにすることを目的に行われます。このため、免疫力が低い乳幼児での定期接種となっているのです。

大人は十分な免疫力が備わっているため、結核菌に感染したとしても髄膜炎などを発症することは非常にまれであり、重症化を防ぐ目的に予防接種は必要ないと考えられています。

予防接種が必要な場合

しかしながら、大人でもBCGワクチンが必要な場合もあります。
例えば、H免疫用製剤を使用する予定の人などのように「免疫力が著しく低下する」ことが分かっていて、万が一結核にかかった場合に重症化することが予想される場合です。このような場合には、治療を開始する前に予防接種が必要になることがあります。

また、家族にこれらの病気の人がいる場合には、家族を介しての感染を防ぐために、家族に対して予防接種が行われることもあります。

BCGの跡が消えているけど…

BCGは接種した跡が残りやすい予防接種の一つですが、ほとんど目立たなくなる人も少なくありません。このような人で、母子手帳などの記録も紛失している場合はBCGを接種したかどうか分からないこともあります。

このような場合には「ツベルクリン反応検査」で確認することがあります。
ツベルクリン反応検査とは、結核菌から抽出したたんぱく質を含む「ツベルクリン溶液」を皮膚内に注射し、その反応を調べる検査です。ツベルクリン溶液は結核菌に感染したことがあったり、BCGを接種したりしたことがあれば48時間以内に接種部位が赤く腫れるといった特徴があります。

ツベルクリン検査

ツベルクリン検査とは、かつて結核の検査として広く行われていたものです。結核菌が持つタンパク質を体内に注入し、結核菌に対する抗体があるかを調べる検査です。

抗体がある場合には、48時間後に注入した部位に赤い発赤が生じますが、抗体がない場合には発赤が生じません。抗体があると判断された場合には、結核に感染しているか、BCGによって抗体が正常に形成されたと考えられます。一方、抗体がないと判断された場合には、結核に感染したことがなく、BCGによって正常に抗体が形成されていないと考えられます。

結核に感染しているかを調べるために行われる検査ですが、BCGに影響を受ける検査のため、正確な判断ができないことも多々ありました。このため、今では、おもに結核菌に対するリンパ球を測定するクオンティフェロン検査が用いられています。

BCGワクチンの副反応(副作用)は?

非常にまれではありますが、BCGワクチンの副反応として骨髄炎が生じることがあります。おもに大腿骨に生じ、100万件に2件と発生頻度は高くありません。

発症すると半年以上にわたって抗結核薬の服用が必要になり、炎症が起きた骨髄を掻把するための手術が必要になることもあります。
しかし、多くは適切な治療を行うことで改善し、後遺症が残るようなことはありません。

おわりに:結核の予防接種は定期接種。義務ではないが、できるだけ受けた方がいい

BCGワクチンは結核の予防接種です。大人になって受けても効果が低いとされているため、推奨される期間に(満1歳未満まで)に受けることをおすすめします。
もし大人の場合は、基本的にはBCGワクチンの接種は必要ないといわれています。家族に結核の人がいる、免疫製剤の治療する予定があるなど、特別な事情がある場合は、医療機関に相談しましょう。

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