花粉症で病院に行ったら、どんな治療を受けられる?

2019/3/11

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

2月に入り、暖かい日が増えてくるとそろそろ気になるのが花粉症の症状。症状が重くなると病院での治療を検討する人もいます。この記事では、花粉症で病院にかかるとどのような治療が受けられるのかについて、花粉症を発症するメカニズムや日ごろからできる花粉症対策とあわせて解説します。

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花粉症に悩まされるのはどうして?

特定の花粉を原因物質として、以下のようなアレルギー症状を引き起こした状態を花粉症または季節性アレルギー性鼻炎といいます。

  • 止まらない鼻水、鼻づまり
  • 何度も出てくるくしゃみ
  • のどのかゆみ、イガイガ
  • 目のかゆみ、充血
  • そのほか、熱っぽさ、倦怠感、イライラ、集中力低下などの症状

これらの症状は、鼻・のど・目の粘膜に付着した花粉を有害物質だと認識した体が、花粉を排除しようとすることによる免疫反応から引き起こされます。

花粉を有害物質だと認識した体は、花粉と接触するたびにIgE抗体という物質をつくり、蓄積していきます。蓄積されたIgE抗体がある一定量を超えると、花粉に接触した際に症状を誘発するヒスタミンが分泌・放出され、花粉症として現れるとされているのです。

病院で花粉症を治すときの方法にはどんなものがある?

耳鼻科の病院で受けられる花粉症治療としては、症状を抑えるための「対症療法」と、花粉症そのものの完治をめざす「根治療法」の2つがあります。以下に、花粉症に対する対症療法と根治療法について、代表的な治療の選択肢と方法をそれぞれご紹介します。

病院で受けられる、花粉症への対症療法

代表的な治療としては、薬物療法とレーザー治療があります。

薬物療法では、症状を誘発するヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン薬をメインに、鼻づまりを緩和する抗ロイコトリエン薬、炎症を抑えるステロイド薬などを処方します。

一方、レーザー治療は特に鼻水・鼻づまりの症状が強いときに使われ、鼻の粘膜に麻酔をかけたうえで、特に炎症や腫れのある部分を焼いて症状の緩和をめざす方法です。

病院で受けられる、花粉症への根治療法

花粉症を根治するための治療法としては、アレルギーの原因となる花粉物質を医師の監督・指示のもとで少しずつ長期にわたって摂取し、免疫を獲得する免疫療法が主流です。

免疫療法は、現時点で花粉症が治り得る唯一の治療法とされており、以下2つの方法があります。

  • 皮下にアレルゲンとなる薬剤を注射で投与する「皮下免疫療法」
  • 舌下にアレルゲンとなる薬剤を滴下して投与する「舌下免疫療法」

いずれも花粉シーズンに入る数カ月前から治療を開始し、2~3年の長期にわたって継続的に続ける必要があります。

花粉症治療中に、日常生活で気をつけることは?

病院で受けられる治療のほか、日常生活で以下のポイントに気をつけることも花粉症の症状緩和につながるといわれています。

日常でできる花粉症対策:外出中

  • 花粉情報をこまめにチェックし、マスクや眼鏡をつけて外出する
  • 花粉飛散量が多くなる時間帯(午後1~3時)の外出は避ける
  • 花粉がつきにくい、ナイロン地など凹凸のない素材の洋服を着る
  • 外出先から帰るときは、玄関前で服や持ち物から花粉を払い落とす
  • 帰宅後はまず顔と手を洗い、うがいをし、鼻をかんで花粉を洗い流す

日常でできる花粉症対策:自宅にいる間

  • ドアや窓の開閉は必要最低限にして、室内への花粉の侵入を防ぐ
  • 掃除機や雑巾を使い、毎日掃除して花粉の除去を心がける

日常でできる花粉症対策:就寝中

  • 花粉が付着している恐れがあるため、屋外に干した布団では眠らない
  • 寝具についた花粉を吸い込まないよう、濡れタオルなどで枕周辺を拭いておく
  • 寝る前には必ずお風呂に入り、体についた花粉をしっかり洗い流す
  • 症状に合わせ、必要なら空気清浄機をつけて就寝する

おわりに:病院で受けられる花粉症治療は、対症療法と根治療法の2つに分けられる

耳鼻科などの病院で受けられる花粉症治療としては、薬物やレーザーを使い症状を和らげる対症療法と、花粉症の克服をめざす根治療法である免疫療法の2つがあります。どちらを選ぶかは、その人の体質や治療への希望、医師の判断によっても変わってきますが、免疫療法には2~3年の長期治療が必要です。花粉症は日常の生活で花粉に触れない、侵入させない工夫をするだけでも緩和されます。治療とともに、身の周りの環境を整えることにも気を配りましょう。

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