何を食べても味気ない…。味覚障害の治療薬ってあるの?

2019/3/24

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

おいしい食事は日々の生活を彩る大きな楽しみ、幸せの1つですよね。でも、もし何を食べても味を感じなかったり、いつもと違う味の感じ方をしていたら、味覚障害を発症している可能性があります。今回は味覚障害がどんな病気かや、治療に使われる薬や再発予防について解説します。

味覚障害ってどんなもの?

味覚障害とは、甘み・塩味・酸味・苦味・うま味の5つの基本味をほとんど、あるいはまったく感じなかったり、感じ方に異常をきたしている状態のことです。症状の現れ方は人によって異なりますが、代表的な症状として以下のようなものがあります。

  • 味覚減退(すべての味を全体的に薄く感じるようになる)
  • 味覚消失(何を食べても味を感じない、または味がわからなくなる)
  • 解離性味覚障害(甘味や塩味など、ある特定の味だけわからなくなる)
  • 自発性異常味覚(何も食べていなくても、常に口が苦いと感じる)
  • 異味症(食べ物が本来持つ味とは、違う味を感知してしまう)
  • 悪味症(何を食べても、食べ物が嫌な味に感じてしまう)

味覚障害になってしまう原因は?

味覚障害の多くは、舌や口の中の軟組織、喉などにある味を感知する器官である「味蕾(みらい)」が、機能障害に陥ることで発症すると考えられています。

味蕾は、細胞のなかでも極めて短期間で新生と死滅を繰り返しています。細胞を新生するにはタンパク質が必要ですが、このタンパク質の合成に際しては、十分な量の亜鉛が不可欠であるとされています。

このため、食生活が偏っていたり、使用している薬剤の副作用などで亜鉛欠乏症になったりすると、細胞の新生に必要なタンパク質を合成できなくなって代謝サイクルが乱れはじめます。すると味蕾の生成と機能が大きく影響を受けて、大部分の味蕾に機能障害が起き、味覚障害が引き起こされるのです。

なお、食事や薬剤の影響が原因の亜鉛欠乏症以外にも、以下のような疾患や、老化などの原因でも味覚障害が起こる可能性があります。

  • 肝臓、または腎機能の障害
  • 胃腸の障害
  • 糖尿病による一症状
  • 貧血症の全身疾患
  • 炎症や異常、やけど、唾液分泌の異常などの口腔疾患
  • 味覚を伝達する中枢神経、および末梢神経の異常によるもの
  • 老化による、味蕾細胞そのものの減少

味覚障害を治すにはどんな薬を服用するの?

原因が亜鉛欠乏症と考えられる場合は、まず亜鉛製剤を服用して亜鉛を補充し、味蕾細胞の新生や代謝が正常に行われるよう治療します。

特定の薬剤の影響から味覚障害が発症したと考えられる場合は、亜鉛製剤を服用するとともに原因の薬剤を減量・変更・中止し、症状の改善を目指すのが一般的です。

味覚神経の機能障害が原因である可能性が高い場合は、原因疾患の特定・治療をすすめるとともに、ビタミンB12製剤やATP製剤などを服用します。また、味覚障害の発症原因が明らかでない場合にも亜鉛製剤が有効なことが多いため、まずは亜鉛製剤を服用して補い、味蕾の機能が回復するのを待ちます。

味覚障害は、投薬治療をしてもすぐに回復するとは限りません。治療には通常2~6カ月の期間を要すると言われているため、医師の指示に従い、根気よく薬の服用と治療を続けていきましょう。

味覚障害の再発を防ぐにはどうすればいい?

味覚障害の再発を防ぐには、普段から亜鉛不足が起こらないよう気を付けるとともに、食事を工夫することが大切です。普段から、以下のような亜鉛を豊富に含む食材を意識的に摂取したり、体内での亜鉛の働きを助けるビタミンCやクエン酸、動物性タンパク質も摂るようにしましょう。

亜鉛を豊富に含む食材
牡蠣、うなぎ、海藻類、牛肉、卵黄、ごま、大豆、アーモンド  など

なお、亜鉛はアルコールの分解に使われるため、お酒を飲むときには亜鉛を多めに摂取した方が良いと言われています。お酒を飲む習慣があり、毎日の食事から十分な量の亜鉛を摂取することが難しい場合は、サプリメントで補給するのも1つの方法です。

おわりに:味覚障害を治療するために亜鉛製剤を服用するのが一般的です

味覚障害を引き起こす原因はさまざまですが、その多くが食事や薬の副作用による亜鉛欠乏症と考えられています。このため、まずは亜鉛製剤を服用しながら味覚を回復させていく治療法が一般的です。治療で味覚が回復したら、再発を防ぐためにも、毎日の食事で積極的に亜鉛を含む食べ物を摂りましょう。

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