処方薬が余ったときの対処法は?薬局に返したらお金は戻る?

2019/4/19

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

医師から処方された薬は、基本的には用法・用量を守って飲み切るべきとされていますが、もし余ってしまった場合はどうすればよいのでしょうか。
今回は処方薬が余ったときの適切な対処法について、薬の返却の必要性や、返却した場合に返金してもらえる可能性とあわせて解説します。

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処方薬が余ったときの対処法は?

飲み忘れてしまったなど、なんらかの事情で処方薬が余ってしまった場合は、薬を処方してもらった薬局に持っていき、その旨を伝えましょう。薬の種類や状態、残っている数を確認してもらうと、薬剤師さんから医師に、次回は飲み切れる量を処方してもらえるよう連絡を入れてもらえます。

もしくは、次回の診察時に患者本人から処方薬の減量を医師に相談できるよう、薬剤師さんにメモを作成してもらえることもあります。薬剤師さんと医師に、体の状態に合った薬の量や種類を知ってもらう良い機会となりますので、積極的に相談すると良いでしょう。

ただし、余った薬の現物を持参せずに「白っぽい薬」「高血圧の薬」といったあいまいな情報だけだと、薬剤師さんも医師に減薬の相談をすることができません。薬が余っていることを薬剤師さんに相談するときは、以下いずれかの方法でどの薬がどのくらい余っているかを正確に提示できるようにしましょう。

余った薬を正確に提示する方法
  • 余っている薬の現物を持参する
  • お薬手帳の余っている薬の欄に、残っている数を記入する

余っている薬を返したらお金は戻ってくる?

余った薬を薬局に持参しても返金は受けられません。処方せんに基づく薬局での調剤と薬の受け渡しは単なる商品売買ではなく、診療や治療と同じく健康保険を利用して受ける「療養の給付」の一環とみなされているためです。

したがって、既に受け終わっている診療や治療の代金の返金を求められないように、処方せん薬についても返金を受けることができない、と法律上決められています。返した薬は、規定に従って薬剤師さんの手で処分・廃棄されることとなります。

余っている薬をほかの人にあげてもいい?

医師からの処方せんをもとに薬局で調剤してもらった処方薬は、その人の体の状態や年齢、不調の原因にあわせて考えられた、オーダーメード品のようなものです。このため、同じような症状であっても、ほかの人が飲んだときは効き目が現れないばかりか、体に合わず重大な副作用を起こしたり、命にかかわる危険な状態に陥る可能性もあります。

また、処方された本人以外が処方薬を飲んで重大な副作用で健康被害に遭っても、医薬品副作用被害救済制度による治療やその後の生活費の補填は一切受けられません

医薬品副作用被害救済制度とは
民法上、賠償責任を問うことが難しい薬の副作用による健康被害者を救済するために、設けられた公的制度。
ただし、救済を受けられるのは医師・薬剤師の指示に基づき適切に薬を飲んだにもかかわらず、一定以上の深刻な健康被害に合った人のみ

薬の種類や作用にかかわらず、薬局に返してもお金が返ってこないからといって、絶対にほかの人に薬をあげたりしないでください。

おわりに:飲み忘れなどで処方薬が余ったら、薬局に持参して薬剤師さんに相談しましょう

処方薬が余ったときは、調剤薬局に持参すれば今後の減薬について薬剤師さんと相談できたり、医師に処方量の調整を依頼してもらったりできます。残った薬を薬局に返してもお金は戻ってきませんが、だからといって将来のために残したり、似た症状の人にあげたりすると重大な副作用を起こすリスクがあります。薬は症状を改善するために必要な量だけ手元に置いておくようにしましょう。

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