痛風の症状を改善するためにどんな治療薬が使われるの?

2019/4/18

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

風が吹いても痛い、ということから名づけられた「痛風」という疾患は、その激痛によって広く知られています。この激痛を改善するためには、どのような治療薬が使われるのでしょうか?また、治療薬以外にも痛風の症状改善に効果的な方法はあるのでしょうか?

痛風ってどんな病気?

痛風とは、尿酸という物質が関節の中で固まって結晶化することで関節に痛みや炎症が起こる疾患です。関節の痛みや炎症は、それまで何の前触れもなかったのに突然発症するため、「痛風発作」と呼ばれることもあります。尿酸はプリン体を消化・代謝してできた最終物質で、プリン体は遺伝子にも含まれる体に欠かせない物質ですが、摂りすぎると尿酸が増えすぎてしまいます。

尿酸は、通常は体内に一定量存在し、ビタミンCよりも強力な抗酸化物質として働く一面もあります。血中に一定濃度で存在する尿酸は、主に運動ストレスを受けた時の抗酸化物質として作用している、という報告もあります。しかし、尿酸は水への溶解度が低く、体温の低い場所や酸性環境下で結晶化しやすい性質を持っています。

この性質により、血中の尿酸濃度が7.0mg/dLを超える高尿酸血症という状態が長く続くと、増えすぎた尿酸が関節で結晶化します。結晶化した尿酸が関節の骨と骨の間の「関節腔」と呼ばれる場所に落下すると、白血球による免疫反応が起こり、攻撃されます。これによって痛風発作が起こります。さらに、高尿酸血症の状態が長く続くと血管に炎症をもたらすこともあることが最近の研究によってわかってきています。

血中の尿酸値はそもそも男性の方が女性よりも高いため、痛風の患者さんのほとんどが男性です。ただし、尿酸値が高いほど痛風が起こりやすくなるのは事実ですが、尿酸値が高いからすぐに痛風になるというわけではありません。また、高血圧や心不全などの治療で処方される利尿剤によって、血中の尿酸値が高くなることもありますので、起こった症状が痛風発作なのかどうかの判断には注意が必要です。心当たりがあれば病院で検査を受けましょう。

痛風になるとどんな症状が出てくるの?

痛風発作が起こる少し前に、むずむずするような違和感を感じる人が多いです。場所は足の親指の付け根が最も多く、足首や膝などに現れることもあります。これらの症状から24時間以内に痛みのピークが訪れます。通常、痛風発作の痛みは耐え難いほどの激痛であるため、歩行困難に陥ることも少なくありません。2~3日激痛が続いた後、1週間程度痛みが続き、だいたい10日前後で軽快します。これが年に1~2回起こります

痛風発作を放置していると、次第に起こる間隔が短くなって慢性化します。慢性化する頃には腎機能障害が起こりやすくなり、手足の関節や耳たぶの皮膚の下などにも尿酸の結晶が沈着してこぶのようになる「痛風結節」が生じることもあります。痛風結節そのもので痛みを感じることはありませんが、痛風結節が進行して結晶が大きくなっていくと、関節が変形したり骨が破壊されたりして、日常生活に支障が出ることもあります。また、約20%の人では尿路結石を合併して発症すると言われています。

痛風の治療は2段階にわけて行う!

痛風の根本的な治療には、高尿酸血症の改善が重要です。しかし、これは一朝一夕にできるものではないため、まずは症状として現れている日常生活に支障をきたすほどの激痛に対して対処療法を行います。具体的には鎮痛薬を使ってまず速やかに痛みを和らげ、痛風発作による激痛がおさまってから血中の尿酸値を下げる「尿酸降下薬」の投与を開始します。

痛風の治療薬①:痛風の痛みを抑える

痛風発作によって起こる関節炎の治療には、原則として「非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)」を使用し、関節炎がおさまったら投与を中止します。痛風発作の症状が最も強烈な時には、一時的に大量にNSAIDsを投与し、その後おさまってきた痛みに対して一般的な量を投与する「NSAIDsパルス療法」が推奨されます。

腎機能障害や胃潰瘍など、消化管や腎機能に何らかの障害があってNSAIDsが使用できない場合、または効果が期待できない、乏しいなどの場合はステロイド剤(プレドニン®︎、デカドロン®︎など)を用います。また、コルヒチンという薬剤は痛風発作以前にむずむずした違和感を感じる時に1錠服用すると、痛風発作が起こるのを止める作用があります。

痛風の治療薬②:高尿酸血症を改善する

高尿酸血症を改善する場合、痛風発作が起こったかどうか、また血中の尿酸濃度によって治療方針が異なります。主に以下のような判断基準によって治療方針を決定します。

痛風発作の既往がある
原則として薬物治療を行う
痛風発作の既往がない
血清尿酸値が9.0mg/dL以上:原則として薬物治療を行う
血清尿酸値が8.0mg/dL以上で肥満や高脂血症などを発症している:原則として薬物治療を行う
血清尿酸値が8.0mg/dL未満:生活指導のみで経過観察を行う

高尿酸血症だけで痛風発作がなく、さらに尿酸値が8.0mg/dL未満であれば、原則として生活指導のみで経過観察を行います。つまり、この時点であれば薬剤の投与を行わず、生活指導だけでもまだ充分に改善する見込みがあると考えられるのです。しかし、尿酸値が9.0mg/dL以上であったり、痛風発作が既に起こっている場合は原則として薬物治療を行います

薬物治療に使われる尿酸降下薬には、尿酸の排出を促進する「尿酸排泄促進薬」と、尿酸の生成を抑える「尿酸生成抑制薬」の2種類があります。それぞれ以下のような薬剤です。

尿酸排泄促進薬
ベンズブロマロン(商品名:ユリノーム®︎)、プロベネシド(商品名:ベネシッド®︎)など
尿酸生成抑制薬
アロプリノール(商品名:ザイロリック®︎、アロプリノーム®︎)、フェブキソスタット(商品名:フェブリク®︎)

それぞれ、尿酸の排出に問題があるのか、それとも尿酸の生成が過剰なのかによって使い分けます。ただし、尿路結石や腎機能障害を合併している場合、尿酸の排出が正常に行われない可能性が高いため、尿酸生成抑制薬が第一選択として用いられます。

治療の目標は、血中の尿酸値を6.0mr/dL以下にすることです。尿酸降下薬は一時的な服用ではなく、長期間の内服が必要です。また、治療期間中は尿酸値のコントロール状況や副作用のチェックなども含め、定期的に血液検査や尿検査を行う必要があります。

薬を飲んでさえいれば痛風は治る?

痛風は、かつては「贅沢病」と呼ばれていたこともあるほど、食生活との関わりが見過ごせない疾患です。つまり、投薬によって血中尿酸濃度が下がったとしても、発症前と全く同じような生活習慣を続けていては、再発しやすくなってしまいます。そこで、以下の5つのポイントに気をつけ、高尿酸血症になりにくい生活習慣を作りましょう。

食べすぎない
カロリーを抑え、肥満を防止することは生活習慣病だけでなく、高尿酸血症の予防にもなります。特に、肉や魚の内臓、干物などはプリン体が多いため、食べ過ぎないよう気をつけましょう。
アルコールを飲みすぎない
ビールにプリン体が多いことは良く知られていますが、それだけではなくアルコールそのものに尿酸値を上げる作用があります。そのため、アルコール飲料は飲みすぎないよう注意しましょう。
水を2L以上飲む
たくさんの尿を排出することで、自然と体外へ排出される尿酸の量も増えます。そこで、水やお茶などを1日2L以上飲みましょう。ただし、砂糖を多く含む清涼飲料水は逆に尿酸値を上げてしまうため、できるだけ控えましょう。
ストレス解消を心がける
ストレスも尿酸値を上昇させてしまう危険因子です。ぜひ、自分に合ったストレス解消法を見つけて適度にストレスを解消しましょう。
適度な有酸素運動をする
体に大きな負荷をかける無酸素運動は、かえって尿酸値を上昇させてしまいます。脂肪燃焼にも効果がある有酸素運動を行うことは、肥満や高尿酸血症を予防するだけでなく、ストレスの解消にもなるためおすすめです。

おわりに:痛風の治療には血中尿酸値を下げることが重要

血中尿酸値が高い人が全員痛風になるわけではありませんが、血中尿酸値が高ければ高いほど、痛風になるリスクは高まります。そこで、痛風の予防には、普段から生活習慣病の予防と同じようにバランスの良い食生活や適度な運動を心がけることが大切です。

耐えきれない痛風発作が突然起こった場合は、無理せず病院に行きましょう。まず鎮痛薬で激痛を抑え、それから生活習慣の指導や尿酸降下薬などで治療を行います。

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