記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/3/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「おしっこが出にくい」「頻尿でトイレが近い」「夜中に何度もトイレに行きたくなるので困る」……こういった症状を感じている方は、排尿障害かも知れません。
排尿障害にはさまざまな理由があり、対処方法もいくつかあります。今回は排尿障害の種類、そして気をつけるべきことなどをまとめました。
高齢者の排尿障害を引き起こす原因は主に2つあります。「蓄尿障害」と「排出障害」です。蓄尿障害は、尿の失禁の仕方によって原因が違いますし、排出障害は「膀胱収縮障害(低活動膀胱)」と「尿道通過障害」に大きく分けられます。さらに、細かく分けると原因はさらに多岐にわたります。
時には内服薬がおしっこの出方に影響を及ぼす場合もあるので注意が必要です。特に高齢の方は色々な病気を併せ持つことが多く、薬を沢山飲んでいることが多いため、薬による排尿障害も考えられます。
気持ちよくおしっこが出ない方や、逆に頻尿で困っている方などは病院で診察・検査を受けた方が良いでしょう。
「蓄尿障害」と「排出障害」の種類と、その症状が起きる原因を詳しくご紹介します。
これらの中で、高齢男性に多いのは前立腺肥大症で、排尿障害の大きな要因となっています。
排尿障害を改善する方法として、生活習慣の改善、薬物療法、行動療法、手術療法などがあります。
直腸内に便が長時間残っていると、おしっこが出にくくなったり、尿漏れを起こしたりします。便秘改善のため、食生活や生活習慣を正し、排便習慣を身につけていきます。
前立腺肥大症や過活動膀胱(膀胱過敏による急な尿意に悩まされる症状)による排尿障害の場合、薬を使って改善を促します。また、便秘解消のため、便秘薬を使用する場合もあります。
蓄尿障害の際によく行われるのは、行動療法と呼ばれる「骨盤底筋体操」や「膀胱訓練」です。
寝た状態や立った状態、座った状態など、さまざまな姿勢で肛門(女性の場合は肛門と膣)を意識して締めます。
ゆっくりと締め、5秒間キープし、緩めます。これが1セットです。
この体操が尿道括約筋を締める訓練になるのですが、2~3回程度では効果が出にくいため、毎日50セット~100セット行います。連続でなくても良いので、テレビを見ているときや電車で移動しているときなど、こまめにしましょう。
1日のうちで、おしっこにいく時間を決めておき、その時間になったら排尿したくなくとも、トイレに行きます。毎日定期的にトイレに行く訓練です。慣れてきたらトイレに行く間隔を徐々に長くしていきます。
高齢の場合、手術の体への負担や合併症を起こしやすいといったリスクを考慮し、慎重に手術を行うかどうかを決定します。最終的な治療法と言えるでしょう。
排尿障害を改善するために、日々の生活の中で気をつけるとよいことがあります。毎日できる限りやってみましょう。
寝たきりの方などは、あお向けでオムツの中に排尿することがあると思います。しかし、ベッドの背もたれを立てて、座った状態にしてあげるとおしっこが出やすいです。ベッドから出られない介護状態の場合、定期的に座った状態にしてあげると良いでしょう。
排尿障害の改善には、手や足を動かして体の運動機能をアップさせることも大切です。実は知覚神経や運動神経の繋がりなどから、手や足の筋肉を鍛えれば膀胱の筋肉も鍛えられます。
例えば、脳卒中を起こした方は「リハビリをし続けたおかげで手や足が動くようになったら、おしっこもしやすくなった」ということも多いです。足上げ体操や手足のぶらぶら体操など、簡単な動きからでかまいませんので、徐々に運動量を増やしてみてください。
高齢の方の場合「尿漏れは歳だからしょうがない」というように、排尿障害を諦める方が多いです。しかし、体操や生活改善、投薬や治療などで改善する場合もあります。おしっこに関する悩みがある方は、泌尿器科などで気軽に相談してみてください。