記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/4/1
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
頭痛や関節痛、歯痛など、さまざまな痛みを抑える薬として多くの方に利用されているロキソプロフェン。すぐに効き目を実感できるので、痛くなるとつい服用したくなりますが、実は服用してはいけない場合があります。それがどのようなときなのか、この記事で解説したいと思います。
「ロキソプロフェン」は、解熱鎮痛剤としてよく利用されている薬です。炎症をしずめて腫れや発赤、痛みなどの症状を抑え、熱を下げる作用があります。主に、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛、手術後や外傷、抜歯後などの消炎や鎮痛、急性上気道炎の解熱、鎮痛などに使われます。
この薬は、炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン(PG)という物質を合成するシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の邪魔をすることで、痛みや発熱のもとがつくられるのを抑制します。
ロキソプロフェンは非ステロイド抗炎症薬の仲間で、比較的安全性が高く、効き目も良いことからよく使われています。薬学的にはプロピオン酸系に分類され、副作用の少ない系統の薬です。このため、熱やのどの痛みをともなう風邪にも使われていますが、あくまで対症療法の薬なので、熱や痛みの原因そのものを治すことはできません。
まず、ワルファリンなどの抗凝固薬と一緒に飲むと、作用が強まって出血しやすくなったり、スルホルニ尿素系血糖降下薬の作用も強めてしまうおそれがあります。また、リウマチや白血病の治療薬であるメトトレキサート、気分安定薬のリチウムなどと併用すると、薬の血中濃度を上げて作用を強めたり、リチウム中毒を起こすおそれがあります。
また、キノロン系の抗生物質、特にシプロフロキサシンやノルフロキサシン、ロメフロキサシンでは、けいれんの副作用を強める可能性があるので、これらとの併用は避けた方が無難です。反対に、ACE阻害薬などの降圧薬やチアド系の利尿薬では逆に作用を減らしてしまうことが明らかになっているため、併用する場合には血圧や腎機能の悪化に注意が必要です。また、多量のアルコールは胃や肝臓の副作用を出しやすくしてしまうので、服用中はお酒を控えめにすることも大切です。
まず、アスピリン喘息(鎮痛薬や解熱薬で喘息を起こす)の方はロキソプロフェンを服用してはいけません。また、胃潰瘍など消化性潰瘍のある方や、血小板減少などで出血が心配な方も服用を控えてください。そして、肝臓病、腎臓病、心臓病、喘息などがみられる方の場合も、病状によっては服用できない場合があります。ウイルス性感染症にかかっている方も注意が必要です。
上記のような病気をお持ちの方は、診察時に必ず医師に報告してください。また、妊娠中はできるだけ服用を控え、どうしても服用したいときはかかりつけの医師や薬剤師と相談し、必要最小限の範囲にとどめるのが大切です。特に、妊娠末期の長期服用は避ける必要があります。
そして、高齢の人には副作用が出やすいため、使用には細心の注意が必要です。また、特に子供に使いまわすことはしないでください。
ロキソプロフェンは比較的副作用が少なく、効き目もよいことから、たびたび使われる解熱鎮痛剤です。しかし、ほかの薬と併用することで作用を強めてしまったり、逆に作用を弱めてしまったりする可能性があります。持病のある方や治療中の方、妊娠中や高齢者の方は、必ず医師もしくは薬剤師に相談してから服用するようにしましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。