激しい頭痛が続く群発頭痛ってどんな病気?どうすれば治るの?

2019/5/6

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ひとくちに頭痛と言っても、慢性的なものから急性のもの、脳や血管の疾患によるものまで、いくつかの種類があります。そのなかでも、非常にやっかいといわれるのが群発頭痛です。今回は群発頭痛がどのような頭痛か、誘発する原因や特徴的な症状、発症してしまった場合の治療や予防法を紹介します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

群発頭痛とは

群発頭痛とは、目の周囲から前頭部・側頭部にかけて激しい痛みが一定期間にわたって、毎日決まった時間に起こる症状です。片頭痛や緊張性頭痛などと同じく、一次性頭痛として分類されますが、発症する割合が1,000人に1人であること、男性に多くみられる症状である点が特徴です。

群発頭痛の原因は、まだ明らかになっていませんが、特定の時間になると発作が起こること、発作中に涙や鼻水、目の充血がみられることから、以下のような原因で発症するのではないかと考えられています。

  • 視床下部の異常(時間を感知する機能がある)
  • 首から頭にかけて通る三叉神経の活動が高まって神経伝達物質が分泌される
  • 自律神経の調整障害、機能低下
  • 目の後ろを通っている内頚動脈の拡張

群発頭痛になるとみられる症状は?

群発頭痛を発症すると、以下のような症状がみられます。

  • 目の奥から前頭部、側頭部にかけて、えぐられるような耐えがたい激痛が起こる
  • 痛みが強すぎてじっとしていられない。自殺を考えるほどつらい
  • 発作による激痛は、必ず左右いずれか片方の目の奥にのみ現れる
  • 発作が起こる前触れはない
  • 痛みの持続時間は15分~3時間と個人差がある
  • 一度発作が現れると、その後1~2カ月間ほぼ毎日発作が出る
  • 痛みが出ている方の目には涙や充血がみられる
  • 発作の間は鼻水、鼻づまり、額に発汗がみられる

群発頭痛はどうやって治療するの?

群発頭痛の治療は、以下のいずれか、または複数の方法で行います。

一般的な鎮痛剤などを使用した、薬物療法

片頭痛などの治療薬として知られるトリプタン製剤を使って、頭痛の痛みを緩和する治療法です。トリプタン製剤は自己注射で摂取すると、即効で(痛み始めてから15分以内)痛みが和らぎます。

高濃度の酸素の吸入

発作が起きているときの高濃度酸素の吸入は、頭痛症状の軽減に効果があることがわかっています。このため、発作を起こしている群発頭痛の患者に、ほかの治療とあわせて酸素吸入をさせることもあります。

神経ブロック注射

発作による強い痛みを伝達している神経経路に麻酔薬を注入し、神経機能を一時的に麻痺させることで痛みを感じない状態にして、症状を緩和する治療方法です。

ただし、群発頭痛では上記3つの方法をすべて行っても、十分な治療効果を得られないケースもあります。医師と相談しながら、患者本人の症状や体質に合った治療方法とその組み合わせを探し、病気に対処していきます。

群発頭痛は予防できる?

群発頭痛の発症・再発を予防するには、発作の誘因となり得る飲酒や、気圧の大きな変化を避けることが有効とされています。

発作が現たら飲酒は控え、急な気圧の変化を引き起こす行動(登山、飛行機に乗る、など)もできるだけ避けましょう。もし、どうしても登山や飛行機に乗らなければいけない場合は、かかりつけの医師に相談してください。

なお、発作が落ち着いたら飲酒や登山、飛行機への搭乗を復活させても大丈夫ですが、できるだけ控えたほうが無難です。

おわりに:群発頭痛の痛みはものすごくつらいもの。発作が起きたら病院へ行きましょう

群発頭痛の発作が始まると、しばらくの間は毎日のように耐えがたい痛みが続きます。もし発作が起きたら、トリプタン製剤の自己注射や酸素吸入、ブロック注射といった対処法がとられます。ただ、こうした治療の効果には個人差がありますので、医師の指導のもと、自分の症状に合う治療法を探りながら、痛みに対処していきましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

群発頭痛(19) 群発頭痛の症状(1) 群発頭痛の治療(1) 群発頭痛の予防法(1)