記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/4/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
解熱鎮痛薬を服用したことがきっかけで喘息の発作を引き起こす「アスピリン喘息」をご存知ですか。この病気はアスピリンだけでなく、ほぼすべての解熱鎮痛薬を服用したときに発症すると言われています。この記事では、アスピリン喘息を発症しやすい方や、発症した場合の治療法を解説します。
アスピリン喘息とは、アスピリンに代表される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)もしくは解熱鎮痛薬によって発作が引き起こされる喘息のことをいいます。
アスピリン喘息という名前ではありますが、アスピリンだけでなく、ほぼすべての鎮痛薬で発作が起こりうることが特徴です。つまり、医療機関で処方される非ステロイド性抗炎症薬だけでなく、市販のかぜ薬や解熱鎮痛薬にもアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬が含まれているものが多いため、アスピリン喘息が起こりうる可能性があります。
アスピリン喘息の症状は、原因となる医薬品を服用してから短時間であらわれます。まず鼻水・鼻づまりが起こり、続けて咳、喘鳴(ぜーぜー、ヒューヒューといった呼吸の症状)、呼吸困難が出現し、徐々にもしくは急速に悪化していきます。その後、意識がなくなったり、窒息したりする危険性もあります。また、顔面の紅潮や吐気、腹痛、下痢などを伴うこともあります。
軽症の場合は半日程度、重症の場合は24 時間以上発作が続くこともありますが、合併症を起こさなければ、原因となった医薬品が体内からなくなると症状が落ち着きます。
アスピリン喘息は飲み薬だけでなく、座薬やシップを使用しても出てくることがありますが、その場合は症状が出現するまでに時間がかかるので、その因果関係がわかりにくいこともあります。
以下に、アスピリン喘息を起こしやすいタイプの方をお伝えします。
アスピリン喘息は患者も医療者もアスピリンが原因のぜんそくと気づきにくいこともあります。
アスピリン喘息の治療は、症状が起こっている急性期と慢性期に分けられます。
急性期では症状が急速に進んでいくため、早めに治療をすることが必要です。まずは酸素を投与して、体内に行き渡らせます。その後、アドレナリンの早期かつ繰り返し投与(筋肉内注射)をし、アミノフィリンとステロイドの点滴投与を行います。ほかにも抗ヒスタミン薬の点滴投与や、可能ならば抗ロイコトリエン薬の内服を行います。
急性期を脱したら、慢性期として長期的な管理が必要になります。アスピリン喘息の慢性期の治療は通常の慢性喘息と同じで、吸入ステロイドが基本です。また、抗ロイコトリエン薬、クロモリン(インタール)も有効です。そして、鼻茸や副鼻腔炎の治療(内視鏡下手術、点鼻ステロイド)が、喘息の改善につながることもあります。
喘息の持病がある場合、アスピリン喘息を発症するリスクが高くなります。アレルギー検査を受けても、アスピリン喘息かどうかを判断することはできません。そのため、喘息をわずらっている方は自己判断で解熱剤や鎮痛剤を市販のものを服用せずに、医師に相談してから内服するようにしましょう。
アスピリン喘息はアスピリンだけでなく、ほぼすべての解熱鎮痛剤で発症する可能性がある喘息です。症状が急速に進むため、あっという間に命の危険を脅かす可能性があります。喘息をお持ちの方など、アスピリン喘息にかかりやすいタイプの方は特に注意しましょう。