抗生物質が効かない病気ってどんなもの?

2019/4/3

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

感染症にかかったときに処方される抗生物質。ですが、実は抗生物質が効かない病気があることをご存知ですか?この記事では、抗生物質が効かない病気がどんなものかをご紹介します。

抗生物質とは

抗生物質とは細菌などの微生物の成長を阻止する物質のことで、カビや細菌などから作られています。抗生物質は、1929年に青カビが作り出したペニシリンという物質が、感染症の原因となるブドウ球菌などの発育を抑えていることがわかったのがきっかけで生まれました。以後、今までは不治の病とされてきた病気を治してきたのは抗生物質のおかげでもあります。

抗生物質が効かない病気があるの?

一見すると万能薬と考えられがちな抗生物質ですが、抗生物質が効かない病気もあります。その最たるものが風邪です。風邪は、細菌より微小なウイルスが原因で発症しますが、ウイルスや真菌に対しては抗生物質の効果は期待できません。まれに、風邪に抗生物質が処方されることがあるかもしれませんが、それは肺炎予防を目的としているためで、風邪を治すのが目的ではありません。ただし、肺炎予防に対して抗生物質を処方してもその効果はほとんどないと言われています

また、軽度の副鼻腔炎を発症している場合も抗生物質の効果はないと言われています。ただし、症状が重い場合は抗生物質の使用が検討されることもあります。

耐性菌が原因の病気も抗生物質が効かないの?

抗生物質を使用し続けていると、その抗生物質の作用に打ち勝つために細菌そのものが抵抗力を持つようになることがわかっています。それが薬剤耐性菌と呼ばれるものです。薬剤耐性菌ができてしまうと、抗生物質を服用しても効果がありません

耐性菌ができるメカニズムとして、主に5つ考えられます。

1. 外膜変化
細菌自体を覆っている膜を変化させて薬が入ってこないようにします
2. 排出ポンプ
細菌に入ってきた毒を外に汲み出してしまいます
3. DNAやRNAの変異
細菌の中で抗菌薬が作用する部分を変化させ、いざ抗生物質が入ってきても効果が出ないようにしてしまいます
4. ベータラクタマーゼ
細菌に届く前に化学反応で分解してしまいます
5. バイオフィルム
大量の粘液で細菌自体を覆い、薬から身を守ります

耐性菌を作らないためにできることは?

耐性菌を作らない最も適した方法は、むやみやたらに抗生物質を使用しないことです。必要な状況ではないのに抗生物質を使用し続けると、耐性菌ができて抗生物質が効かなくなってしまいます。繰り返しになりますが、風邪は細菌ではなくウイルスによって起こるものなので、抗生物質の効果がありません。患者のほうから「風邪をひいたから抗生物質を処方してください」といった要望をしないようにしましょう。

おわりに:風邪に抗生物質は効きません。耐性菌を防ぐためにも、むやみに使うのはやめましょう

抗生物質は、細菌に対して効果のある薬のため、風邪といったウイルスが原因の病気に対しての効果はありません。不必要に抗生物質を使い続けると耐性菌ができ、抗生物質が効かなくなってしまいます。耐性菌ができると適切な治療が難しくなるため、むやみに処方してもらったり、服用したりするのは控えましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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