ペニシリンってどんな働きをする薬?気になる副作用は?

2019/4/27

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ペニシリンは偶然から見つかった抗生物質で、歴史的にも古くからある治療薬です。この記事では、ペニシリンの働きや副作用などについて解説します。

ペニシリンとは

ペニシリンは、1928年にフレミングが発見した抗菌物質です。

フレミングは研究目的で培養していた黄色ブドウ球菌のペトリ皿を廃棄しようとしたとき、皿の中にカビが混入していることに気付きました。このとき、カビの周囲には黄色ブドウ球菌が増殖していないことにも気づき、その後、カビが生み出す物質に黄色ブドウ球菌を殺菌する作用があることを発見しました。そして、そのカビの学名(Penicillium)にちなんで、この物質を「ペニシリン」と命名したのです。

その後、フレミングの論文を読んだ生化学者のハワード・フロリーとエルンスト・ボリス・チエーンが、1940年にペニシリンの精製に成功し、1945年に感染症の治療に使用することができるようになりました。これにより、ペニシリンは多くの感染症治療の切り札として活用されるようになったのです。

ペニシリンの作用は?

ペニシリンはβラクタム系の抗生物質です。細菌の細胞壁合成に深く関わるペニシリン結合タンパク質(PBP)に作用して、細菌が細胞壁を合成するのを阻害して抗菌作用をもたらします。ペニシリンは全身への分布は速やかで、胆汁、関節液、胸腔、心膜腔への移行は良好な薬です。

ペニシリンを配合している主な薬は?

天然ペニシリンは、注射薬ではベンジルペニシリンカリウム:PCG(ペニシリンG)、経口薬ではベンジルペニシリンベンザチン水和物:DBECPCG(バイシリンG)に配合されており、・肺炎球菌を含む好気性、嫌気性の連鎖球菌、腸球菌、淋菌、髄膜炎菌などの治療に使用されます。

アミノペニシリンは、注射薬ではアンピシリン:ABPC(ビクシリン)、経口薬ではアモキシシリン:AMPC(サワシリン)、アンピシリン:ABPC(ビクシリン)に含まれており、腸球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、大腸菌、連鎖球菌に使用されます。

広域スペクトラムペニシリンは、注射薬ではピペラシリンナトリウム:PIPC(ペントシリン)に含まれますが、経口薬ではまだ世に出ていません。

β-ラクタマーゼ阻害剤配合剤は、注射薬ではアンピシリン・スルバクタム:ABPC/SBT(ユナシンS)、ピペラシリン・タゾバクタム:PIPC/TAZ(ゾシン)に含まれており、経口薬ではアモキシシリン・クラブラン酸:AMPC/CVA(オーグメンチン)に含まれています。MSSA、ペニシリナーゼ産生の大腸菌・嫌気性菌などに使用されます。

ペニシリンの副作用は?

ペニシリンの副作用は、消化器症状として下痢、吐き気、食欲不振などがあらわれる場合があり、特に下痢は15~28%の確率で発症したというデータがあります。また、頻度はごくまれであるものの、アナフィラキシーショックが出現することがあります。このほか、皮膚のかゆみ、蕁麻疹、声のかすれ、息苦しさ、偽膜性大腸炎、アレルギーなどがみられることもあります。

副作用が見られた場合は放置せず、薬を処方した医師や薬剤師に連絡することをお勧めします。

おわりに:ペニシリンは古くからある抗生物質でさまざまな治療に使用できます

ペニシリンは歴史のある抗生物質で、さまざまな疾患の治療に使われています。ただ、場合によっては下痢や吐き気といった副作用があらわれることもあります。もし、副作用の可能性がみられたら、早めに処方された医師や薬剤師へ相談するようにしましょう。安全に使用することで、効果を最大限に発揮し、治療への効果が見られます。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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