グリコペプチド系の抗生物質の働きは?起こりうる副作用は?

2019/6/25

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

グリコペプチド系の抗生物質は、主に健康な人の皮膚などに存在する黄色ブドウ球菌の一種である「MRSA」の感染症などに使われます。この記事では、グリコペプチド系の抗生物質の効果や副作用などをご紹介します。

グリコペプチド系抗生物質とは

グリコペプチド系の抗生物質は、細菌の細胞壁合成を阻害し、殺菌作用を表す薬です。グリコペプチド系の抗生物質であるバンコマイシンやテイコプラニンは、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)などによる感染症の治療に使われます。前者の感染症では肺炎や髄膜炎など、後者の感染症では腹膜炎や敗血症などが挙げられます。

また、VREには耐性遺伝子vanAをもち、バンコマイシンとテイコプラニンに高い耐性を示すものがあるため、使用については特に注意が必要です。さらに耐性遺伝子vanBをもち、バンコマイシンのみに耐性を示すものがあるため、感受性の確認が大切といわれています。またバンコマイシン散を内服しても血液中に入っていかないため、細菌が血液中に存在する菌血症には使用されないと考えられています。

グリコペプチド系抗生物質の効果は?

細胞壁をもつ種類の細菌は、細胞壁がなければ生きることができません。グリコペプチド系の抗生物質は、細胞壁を構成しているタンパク質の「ペプチドグリカン」が作られる前の物質にはたらき、細胞壁の合成を阻害します。これによって細菌を壊し、抗菌作用を表します。黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌などに高い抗菌作用をもち、中でもMRSA感染症の治療に効果的といわれています。

主なグリコペプチド系抗生物質の治療薬は?

グリコペプチド系の抗生物質の主な治療薬には、以下のようなものがあります。

バンコマイシン®︎

主に肺炎や髄膜炎、心内膜炎などのMRSA感染症に使用されます。細胞のもつ細胞膜の透過性を変化させることにより、細胞内の成分が細胞膜外に出ていくことで細菌を破壊します。点滴静注する場合は、60分以上かけて行われます。これは急速に注射剤を投与すると、体の上部の紅潮、かゆみ、血圧低下などがみられる場合があるためと考えられています。

タゴシット®︎

こちらも主にMRSA感染症に使用されます。バンコマイシンと比較して副作用が少ないことが特徴です。点滴静注する場合は、30分以上かけて行われます。これは急速に注射剤を投与すると、バンコマイシンと同様に体の上部の紅潮、かゆみ、血圧低下などがみられる場合があるためと考えられています。

グリコペプチド系抗生物質の副作用は?

主な副作用としては、発疹、発熱などが挙げられます。またまれに、めまいや耳鳴り、尿量減少、一時的な尿量過多、むくみなどがみられる場合があります。このような副作用が現れた場合には、速やかに医師や薬剤師へ相談しましょう。

おわりに:グリコペプチド系の抗生物質には、細胞壁合成を阻害する働きがあります

グリコペプチド系の抗生物質は、細菌のもつ細胞壁を作れなくすることにより、抗菌作用を表します。耳鳴りや尿量減少、むくみなどの副作用がみられる場合には、医師や薬剤師へ相談するようにしましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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