オレキシン受容体拮抗薬の特徴や?副作用として起こりうることは?

2019/6/3

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

睡眠薬には薬が作用・代謝する時間によってさまざまな種類があり、医師は患者の状態や不眠の程度によってこれらを使い分けています。この記事では、睡眠薬のうちオレキシン受容体拮抗薬の作用や特徴、現在使用されている薬のことや考えられる副作用について解説します。

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オレキシン受容体拮抗薬とは

オレキシン受容体拮抗薬は、睡眠から覚醒に至るまでの過程に作用することで入眠や睡眠の継続を助け、不眠症状を改善する睡眠薬です。

具体的には、覚醒に必要なオレキシンという神経伝達物質が、これを受け取る受容体に結合するのを阻害し、不眠や中途覚醒を防ぎます。これにより、脳を睡眠状態に移行させやすくするとともに、夜中や早朝などに中途覚醒して眠れなくなる不眠症状を防いで睡眠障害を改善してくれます。

なお、オレキシン受容体拮抗薬の日本での本格的な使用は2014年から始まっています。このため、比較的新しい睡眠薬としても知られています。

オレキシン受容体拮抗薬「ベルソムラ®︎」とは

今のところ、オレキシン受容体拮抗薬に分類される薬としてベルソムラ®︎があります。

ベルソムラ®︎は、睡眠薬としては比較的効き目が穏やかですが、脳の覚醒を抑制することで入眠と睡眠の継続、熟睡を促進する効果を発揮します。効き目には個人差がありますが、一般的には入眠までにかかる時間を10~20分短縮し、総睡眠時間を40~50分伸ばしてくれる薬として期待されています。

ベルソムラ®︎に代表されるオレキシン受容体拮抗薬は日本での使用開始から日が浅く、まだ長期的な有効性・安全性には不安があるものの、不眠治療のための有効的な薬の選択肢として注目されています。

オレキシン受容体拮抗薬を服用したときにみられる副作用は?

ベルソムラ®︎のようなオレキシン受容体拮抗薬を服用したときに発症し得る副作用として、以下のようなものがあります。

オレキシン受容体拮抗薬によって起こる主な副作用
  • 眠気、めまい、頭痛、悪夢にうなされるなどの精神神経系症状
  • 起床後の疲労感や倦怠感など、全身症状

また、以下の薬との併用はオレキシン受容体拮抗薬の代謝が阻害され、薬の作用を必要以上に強めてしまう可能性があるため、固く禁止されています。

オレキシン受容体拮抗薬との併用禁忌薬
  • 抗真菌剤の一種である「イトラコナゾール」
  • 抗生物質の一種である「クラリスロマイシン」

オレキシン受容体拮抗薬ベルソムラ®︎を処方されたときは、上記の副作用や注意点に配慮したうえで、医師または薬剤師の指示する用法・用量を守って服用してください。

おわりに:オレキシン受容体拮抗薬は、覚醒を防いで眠りを助ける薬

睡眠薬のなかでも比較的新しいオレキシン受容体拮抗薬は、筋弛緩や心身の鎮静ではなく、脳の覚醒を抑制することで入眠しやすく、かつ、眠り続ける状態を維持する薬です。具体的には、覚醒をもたらす神経伝達物質オレキシンが受容体と結合することを阻害するよう作用し、脳を覚醒から睡眠状態へ移行させます。日本で利用できるオレキシン受容体拮抗薬にはベルソムラ®︎がありますが、比較的新しい薬ですので、めまいや起床時のだるさといった症状が続くときは医師・薬剤師にその旨相談してください。

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