記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/5/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
睡眠薬はその効き方や特徴によっていくつかの種類に分類されています。今回は睡眠薬のうち「メラトニン受容体作動薬」と呼ばれるものについて、その作用や特徴、代表的な商品名や注意すべき副作用について解説します。
睡眠薬のひとつであるメラトニン受容体作動薬は、特に寝つきが悪い状態(入眠困難)を伴う睡眠障害の改善に効果がある薬です。メラトニン(夜に体温を下げて体内時計を調整し、自然な眠気を誘発するホルモンの一種)と結合する受容体を刺激することで作用します。メラトニン受容体のうち、MT1・MT2と呼ばれる個所に薬が作用することで、メラトニンと結合したような状態を作り出して自然に近い入眠を誘導するのです。
眠りにつくメカニズムを利用した薬であるため、脳の活動や興奮を鎮める他の睡眠薬と比べても、自然に近いかたちで睡眠障害を改善するといわれています。
メラトニン受容体作動薬に分類される代表的な睡眠薬として、ロゼレム®︎が挙げられます。脳や神経への鎮静や抗不安作用はなく、メラトニン受容体への刺激で自然の睡眠リズムを取り戻すことで睡眠障害の治療をめざす点が他の睡眠薬との大きな違いといえます。
ただし、あくまで人間が本来持つ睡眠のリズムを取り戻しての症状改善を目指すため、効果には個人差が大きく、即効性もあまりありません。このため、慢性的な不眠症や、うつ病など精神疾患からくる睡眠障害には効果を発揮しない可能性があります。
メラトニン受容体作動薬は即効性が低い一方で、ほかの睡眠薬に見られるような副作用や依存性が低いといわれています。ただ、メラトニン受容体作動薬の服用時に起こり得る副作用として、以下のようなものが挙げられます。
副作用が現れるケースは非常にまれですが、メラトニン受容体作動薬の服用後に上記のような症状が現れたら、すぐに医師または薬剤師に相談しましょう。
患者の体質や併用する薬、一緒に摂取する飲食物によっては、メラトニン受容体作動薬の効き目を左右したり、副作用が強まるリスクがあります。以下に、メラトニン受容体作動薬の服用にあたって、「注意が必要な人の特徴」と「服用時の注意点」をそれぞれまとめました。
慢性的な疾患のために肝臓の働きが極度に低下している方は、薬の代謝が遅れて過度に作用が現れる可能性があるため服用はおすすめできません。
また、肝臓病以外にも、脳に病気のある方や高齢の方、重い睡眠時無呼吸症候群の方は服用に危険が伴うため、服用してもよいかどうかを医師にしっかり確認する必要があります。
互いの作用を必要以上に強める恐れがあるため、以下の薬とメラトニン受容体作動薬との併用は禁止されています。
また、コーヒーや緑茶・紅茶などに含まれるカフェインは作用を弱め、アルコールは作用を強めてしまう恐れがあるため、服用中は摂取を控えた方が良いでしょう。
睡眠薬のなかでも、メラトニン受容体作動薬は眠気を誘発するメラトニン受容体を刺激し、自然な眠気を誘発する作用があります。効き目が緩やかで副作用が起こりにくいのが特徴ですが、即効性は乏しいため、一時的に寝つきが悪くなっている方や、初期の睡眠障害の方の治療でよく使われています。なお、体質によっては服用に注意が必要な方や、作用や副作用に影響する飲み合わせ・食べ合わせもあります。服用するときは、医師・薬剤師の指示に従いましょう。