抗不安薬のひとつ、5-HT1A受容体部分作動薬ってどんな薬?

2019/6/24

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

抗不安薬のひとつである5-HT1A受容体部分作動薬は安全性が高いと言われており、高齢の方にも処方されることが多いと言われています。この記事では、5-HT1A受容体部分作動薬の働きや副作用を中心に解説していきます。

5-HT1A受容体部分作動薬とは

5-HT1A受容体部分作動薬は抗不安薬の代表的な薬で、心身症からくる不安・緊張・抑うつ・睡眠障害および、自律神経失調症や神経症などに効果を発揮します。安全性が高く、依存性や相互作用はないが、効果発現までに時間がかかるという特徴があり、効果発現までに2~4週間ほどかかります。

また、ベンゾジアゼピン(BZD)系抗不安薬で効果があまりみられなかった場合、5-HT1A受容体部分作動薬を使用しても効果が劣るとされています。脳内セロトニン受容体のサブタイプのひとつである5-HT1A受容体に選択的に作用して抗不安作用を発現するものとしており、さらに反復使用することによって自己受容体数を正常な数まで減少させると同時に、タンドスピロンに対する自己抗体の感受性が低下するとし、これによって抗うつ作用が発揮できるものとしています。

5-HT1A受容体部分作動薬の種類は?

現時点で利用できる5-HT1A受容体部分作動薬はタンドスピロンクエン酸塩(商品名:セディール)1種類のみです。代表的な抗不安薬であるベンゾジアゼピン系薬剤と比べて筋弛緩作用や依存性などの有害事象が少ないという特徴があり、高齢者にも使用しやすい薬です。

効果発現も遅く、効果が出るまでに2時間近くかかるほか、作用時間も短いため6時間以内に効果がなくなります。心身症からくる不安・緊張・抑うつ・睡眠障害および、自律神経失調症や神経症に対して効果を発揮する薬です。

5-HT1A受容体部分作動薬で考えられる副作用は?

5-HT1A受容体部分作動薬で考えられる副作用で頻度の高いものは眠気やめまいで、重い副作用としてはセロトニン症候群と悪性症候群があります。

セロトニン症候群とはセロトニン系の薬物を服用中に出現する副作用で、不安、混乱する、いらいらする、興奮するなどといった精神症状、手足が勝手に動く、震える、体が固くなるなどの錐体外路症状、発汗、発熱、下痢、頻脈といった自律神経症状がみられます。

また、悪性症候群は主に向精神病薬により引き起こされる副作用で、高熱・発汗、意識障害、手足の震えや身体のこわばり、言葉の話しづらさやよだれ、食べ物や水分の飲み込みにくさなどの錐体外路症状、頻脈や頻呼吸、血圧の上昇などの自律神経症状、横紋筋融解症などの症状がみられます。

どちらも放置すると重篤な合併症を引き起こし、命への危険を及ぼす可能性もあります。これらの症状は大量服用時あるいは急な減量・中止により起こりやすく、発現頻度は非常にまれです。

セロトニン症候群は服用後数時間ほどで症状が出現しますが、服用をやめると24時間以内に症状が消失します。もし、5-HT1A受容体部分作動薬を内服した際にこれらの症状が見られたらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。

おわりに:依存性の少ない抗不安薬。副作用には十分に注意が必要

5-HT1Aはほかの抗不安薬と比べて効果発現までに時間がかかり、薬の作用する時間も短いものの依存性が極めて少ないため高齢者でも内服することのできる薬です。

しかし、副作用がないというわけではなく、放置することで命への危険を及ぼすこともあります。医師の指示に従い安全に、確実な服用を心がけ、もしも気になる副作用が出たら早めに医療機関へ相談するようにしましょう。

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