下剤にはいくつか種類があるって本当?

2019/5/21

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

便秘が続くとお腹が張ったり、気分もあまりすっきりしなくてつらいですよね。そんなとき、下剤を服用して排便を促すことができますが、ずっと下剤を服用し続けていれば便秘も解消するのでしょうか。この記事では、下剤の種類を紹介するとともに、下剤で便秘も改善できるのかについても解説したいと思います。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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下剤ってどんな薬?

下剤は、瀉下剤(しゃげざい)とも呼ばれます。便を柔らかくしたり、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促したりすることで、腸にたまった便を排出する薬のことをいいます。

主に便秘改善のために用いられますが、大腸カメラ検査の前に、腸を空っぽにするために使われたり、食中毒や薬物中毒の際に毒性の強い成分を排出するために使われたりすることもあります。また、寄生虫に対する薬(駆虫薬)を使用する際に、できるだけ排泄物を腸の中に残さないようにするためにも用いられます。

下剤にはどんな種類があるの?

下剤には、その作用の仕方によって、刺激性下剤と機械的下剤の2種類に分けられます。

刺激性下剤
腸を刺激して腸の動きを活発にすることで排便をうながす薬です。刺激性下剤は、最初は強力な作用を感じても、続けて使っているうちに効きづらくなることがあります。そのため、刺激性下剤は緊急時の使用にとどめることが望ましい薬とされています。旅行や出張など、一時的な環境変化で起こった便秘を解消したいときに有効な薬です。
機械的下剤
薬の成分や薬に含まれる水分によって便を柔らかくしたり、便の体積を大きくして便を押し出したりする薬です。刺激性下剤と違って、継続して使っていても効きづらくなることが起こりにくい薬といわれます。普段の生活で起こる便秘を改善したいときに選ばれる薬です。

下剤さえ飲めばつらい症状は治る?

下剤さえ飲んでいれば、便秘の症状が改善されるわけではありません。

便秘を解消する上で、バランスのとれた規則正しい食事が必要です。便は食物繊維や水分が含まれていることで適度な量や固さになります。したがって、食物繊維の含まれる野菜や海藻を食べたり、朝起きてから水分を摂ったりすることも大切です。また、適度な運動は腸の動きを活発にします。現代人は何かと忙しいものですが、便意が起こりやすい時間がわかったら余裕をもって過ごすことが大切になります。便意が起こったときは我慢せず、トイレに行くようにしましょう。

おわりに:下剤は機械的に便を出す薬で、便秘を解消するわけではありません

下剤は便秘を改善したいときに服用する薬です。その作用によって機械的下剤と刺激的下剤があり、特に刺激的下剤は長く飲むと効きづらくなる、という特徴があります。ただし、下剤を飲み続けたらからといって便秘が解消するというわけではありません。食生活や生活習慣、運動習慣の改善も行って、薬に頼らなくても排便できるようになることを目指しましょう。

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