ロタウイルス感染症の流行時期と自宅でできる予防対策

2024/4/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

例年1~4月の春にかけて流行することが多いロタウイルス感染症は、発熱や嘔吐、下痢などの急性胃腸炎を引き起こす感染症です。特に乳幼児期では急性重要胃腸炎としても知られており、水っぽい下痢を繰り返すこと特徴とします。今回はロタウイルス感染症の症状や治療・予防法、感染を広めないための対策などを解説します。

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ロタウイルス感染症とは

ロタウイルス感染症は、「ロタウイルス感染性胃腸炎」ともいい、ロタウイルスが経口感染や接触感染することで急性胃腸炎を引き起こす感染症です。
潜伏期間は2~4日程度で、感染力が強く少量のウイルスでも感染しやすく、腸管内で増殖します。主に1~4月ごろに流行し、乳幼児がかかりやすく5歳までにほとんどの子どもがかかるとされています。
大人もロタウイルス感染症にかかることがありますが、一般的には無症状または軽度で治まります。乳幼児では重症化することや合併症を引き起こすこともあるため注意しましょう。

ロタウイルスの症状

ロタウイルスに感染すると、2~4日の潜伏期間を経て急性胃腸炎を引き起こします。症状は、発熱や腹部の不快感、水下痢、嘔吐が繰り返し起こします。下痢が続く場合は脱水症状が数日続くことがあり、特に乳幼児は注意が必要です。

ロタウイルス感染症は、痙攣や肝機能異常、急性腎不全、脳症、心筋炎などの合併症が起こることがあり、死に至る場合もあります。呼びかけても反応が薄い、痙攣を起こしているなどの症状が見られたら早急に医療機関を受診しましょう。他のウイルス性胃腸炎に比べると下痢や嘔吐の症状が激しく、乳幼児の場合は入院が必要になることもあります。大人の場合は無症状または軽度です。

ロタウイルス感染症の症状
  • 発熱
  • 嘔吐
  • 下痢(水様性下痢)
  • 脱水症状
合併症
  • 痙攣
  • 肝機能異常
  • 急性腎不全
  • 脳症
  • 心筋炎

ロタウイルスの治療と注意点

現在、ロタウイルスに効果のあるお薬はありません。そのため、それぞれの症状を和らげるための「対症療法」を行います。

ロタウイルス感染症は脱水症状を起こしやすいため、脱水を防ぐためにこまめに水分補給を行いましょう。また、発熱や下痢、嘔吐の症状で体力も消耗してしまいますので、栄養補給も欠かせません。
体を冷やさないように温かくしてゆっくり休養をとりましょう。

脱水症状がひどい場合は、医療機関で点滴を行うなどの治療が必要になります。下痢がひどい場合には「下痢止めを使用したい……」と思うかもしれませんが、病気の回復を遅らせることがあるため使用しないほうが望ましいとされています。下痢がひどい場合には再度受診して医師に相談しましょう。

ロタウイルス感染症を予防する方法はある?

ロタウイルスは感染力が強く、ウイルスの数が10~100個程度の少量でも感染すると考えられています。感染後は腸管内で増殖し症状がおさまった後も1週間程度はウイルスを輩出し続けることがあるため二次感染にも注意が必要です。

ロタウイルス感染症は春に流行する感染症であるため、この時期は特にトイレ後や料理前の手洗いを徹底しましょう。また、小さな子どもがいる場合は手洗いの指導をするほか、赤ちゃんのおむつの交換前後は手洗いや手指消毒を徹底してください。
また、使用頻度や触れる機会の高いものには、こまめに次亜塩素酸ナトリウムや消毒用エタノールで消毒をするようにしましょう。

感染を広めないためにはどうしたらいい?

ご家族やお子さんがロタウイルスに感染した場合は、ほかのご家族やご自身にうつらないようにするためにも、手袋をはめたり消毒をしたりするなどの対策をしましょう。

子どもがおむつを使用している場合は、使い捨ての手袋などを使用してポリ袋に使用済みのおむつを入れしっかりと口を縛って捨てましょう。衣類が吐物や便で汚れてしまった場合には、次亜塩素酸ナトリウムでつけおきして消毒し、ほかの衣類と分けて選択しましょう。

なお、ロタウイルスワクチンは2020年10月1日から定期接種となりました。ワクチンを接種することで重症化を防げるといわれていますので、定期接種は忘れずに受けるようにしてください。

▼ 厚生労働省 ロタウイルスワクチンに関するQ&A

おわりに:春の感染症にかからないためにも手洗いを徹底しよう

ロタウイルス感染症は、感染力が強く少量のウイルスでも感染しやすく下痢や嘔吐などの胃腸炎を引き起こします。治療は対症療法になるため、流行期前にワクチン接種を受けることや手洗いや手指消毒を徹底しましょう。感染後に意識の低下やけいれんなどの症状がみられる場合は早急に医療機関を受診し医師に相談しましょう。

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