高血圧の治療で利尿薬が処方される理由は?種類や副作用を解説

2019/6/14

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

高血圧は動脈硬化を招き、脳梗塞や脳出血などさまざまな病気を引き起こす可能性があります。今回は高血圧の際に処方されることのある利尿薬について、種類や副作用などをご紹介します。

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高血圧で利尿薬が処方されたのはなぜ?

塩分が大量に体内に入ると、水分を多めに摂って体液の浸透圧を一定に保とうとする働きがあります。塩分が多い食品を食べたあと、喉が渇くのはそのためです。その結果体液の量が増え、血管内を巡る血液の量も増加します。心臓は血液を全身に循環させるポンプ機能を持ちますが、体液量の増加は心臓への負担を増加させます。

このようなとき、利尿薬を服用すると塩分(ナトリウム)の排泄を促し、尿量が増えて体液量が減ります。その結果、心拍出量が減って血圧が下がります。

治療で使われる利尿薬にはどんなものがあるの?

主な利尿薬として、以下のようなものがあります。

ループ利尿薬

  • フロセミド(商品名:ラシックス®)
  • トラセミド(商品名:ルプラック®)

腎臓には、水分を再吸収し血液中に戻す働きがある「ヘンレループ」と呼ばれる管があります。この管の水分移動を阻害することにより尿量を増加させ、血圧を下げます。

サイアザイド系利尿薬

  • インダパミド(商品名:ナトリックス®)
  • ベンチルヒドロクロロチアジド(商品名:ベハイド®)

腎臓の尿細管では、尿から血管に水分やナトリウムイオンの再吸収が行われています。この吸収を抑えることにより、水分を体外へ排出して血圧を下げます。

アルドステロン拮抗薬

  • エプレレノン(商品名:セララ®)

血圧上昇などに関わる体内物質であるアルドステロンの働きを阻害して血圧を下げます。

利尿薬にはどんな副作用があるの?

利尿薬を使用した場合の主な副作用について、薬の種類別に解説します。

ループ利尿薬

吐き気や食欲不振がみられる場合があります。また、まれに頭痛やめまい、聴覚障害、低カリウム血症などが表れることがあります。

サイアザイド系利尿薬

めまいや頭痛がみられることがあります。また、まれに光線過敏症や発疹などが表れる場合があります。

アルドステロン拮抗薬

めまいや頭痛、吐き気や下痢、便秘などがみられることがあります。また筋力低下やしびれ、不整脈がみられることがあります。

おわりに:利尿薬を飲むと、体内の水分量を減らして血圧を下げることができます

利尿薬を服用することで、体内の水分量を減らして血圧を下げます。利尿薬にはさまざまな種類がありますが、副作用がみられる場合もあります。気になる症状が表れた場合には、医師や薬剤師へ相談しましょう。

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