糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬ってどんなふうに作用するの?

2019/6/13

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

SGLT2(エス・ジー・エル・ティー・ツー)阻害薬は血糖値を下げる力があるため、糖尿病の治療などに使われている薬です。今回はSGLT2阻害薬の血糖値の下げ方や、副作用などをまとめました。副作用を防ぐために必要な水分補給についてもご紹介いたします。

SGLT2阻害薬ってどんな薬?

SGLT2阻害薬は、日本国内では2014年から使用が始まった新薬です。他の薬との併用を避け、単独で使えば低血糖を引き起こす危険性が低いのが特徴です。

血液中のブドウ糖は、腎臓の「糸球体」で血液から原尿(尿のもととなる液)として排出されます。その後、ブドウ糖は尿細管で取り込まれ、血液に戻ります(再吸収)。そのため、健康であれば排泄される尿の中に糖は出ません。

尿細管から再び血液へ糖を戻す役割を果たしているのが、「SGLT2」と呼ばれるタンパク質です。糖が血管内へ吸収されると血糖値が上昇します。SGLT2阻害薬は、SGLT2の働きを阻害し、尿細管でブドウ糖が血液に戻るのを阻止します。その結果、ブドウ糖は尿と一緒に排泄されるため、血液中の血糖値は下がる仕組みです。

「糖尿病治療薬」と聞くと、インスリンを利用して血糖値を下げるイメージがあるかもしれません。しかし、SGLT2阻害薬はインスリンと関係なく、血糖値を下げることができます。

代表的なSGLT2阻害薬は?

この章では、主なSGLT2阻害薬をご紹介いたします。

  • イプラグリフロジン製剤(商品名:スーグラ®︎)
  • トホグリフロジン製剤(商品名:アプルウェイ®︎、デベルザ®︎)
  • ダパグリフロジン製剤(商品名:フォシーガ®︎)
  • ルセオグリフロジン製剤(商品名:ルセフィ®︎)
  • エンパグリフロジン製剤(商品名:ジャディアンス®︎)

SGLT2阻害薬で起こりうる副作用は?

SGLT2阻害薬の服用で起こりうる副作用として、以下のようなものがあります。

脱水・多尿・頻尿

SGLT2阻害薬を服用すると、糖と一緒に水分も排泄されるため、尿の全体量が増えます。そのため、多尿(おしっこの量が極度に多い状態)や頻尿といった症状が出ることがあります。

また、尿が増える分、体液の量は減ります。その結果、脱水症状に陥ることもあります。したがって、水分補給を心掛けることが大切です。特に、高齢者や利尿剤を飲んでいる方は注意しましょう。

ただ、病気の治療のために水分の摂取量が制限されている人は、水分補給をする前に医師に相談してください。また、多尿に伴って体重が減っている場合も、医師に伝えてください。

尿路感染症

SGLT2阻害薬は体内の糖を尿に出す働きがあります。結果的に尿の糖濃度が高くなるため、尿路感染症になりやすい傾向があります。

低血糖

SGLT2阻害薬を服用していると、食事のタイミングの悪さや寝不足といった様々な条件により、低血糖を起こす危険性があります。

低血糖を起こしかけている、あるいは低血糖が起きている時の症状
  • 気持ちが悪い
  • 冷や汗が出る
  • 脱力感
  • ふらつく
  • 手足が震える  など

上記のような症状がひとつでもみられたら、まずはブドウ糖を摂取してみてください。それでも改善しない場合は、医師に相談しましょう。

低血糖の症状は継続することもありますし、急に出ることもあります。SGLT2阻害薬を飲みながら、高い所で作業をしている方や、車の運転を長時間する方は、特に気を付ける必要があります。

腎盂腎炎(じんうじんえん)などの感染症

頻度としては非常に少ないですが、腎盂腎炎(腎臓が細菌に感染する病)にかかる場合があります。

腎盂腎炎の症状
  • 発熱
  • ふるえ
  • 腰や脇腹の痛み
  • 寒気   など

これらの症状がひとつでもみられたら、医師に相談してください。

おわりに:SGLT2阻害薬は尿に糖を出して血糖値を下げてくれる薬です

SGLT2阻害薬は血液中の糖の量を減らし、血糖値をコントロールしてくれます。副作用が出る場合がありますので、SGLT2阻害薬は正しく服用しましょう。薬の性質上、脱水を起こす可能性もあります。水分補給などの対応も肝心です。

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