Ca拮抗薬の特徴は?副作用と服用時の注意点も解説!

2019/6/28

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

血圧を下げる薬のひとつに、Ca拮抗薬があります。ここでは、カルシウムというなじみ深い栄養素が血圧を下げることとどのような関係があるのかを解説したいと思います。

Ca拮抗薬ってどんな薬?

Ca拮抗薬は、カルシウムに作用する薬です。カルシウムは、骨や歯などをつくって体を支える成分として知られていますが、そのほかに血管などの組織にも微量に存在し、筋肉を縮める働きを持っています。そのため、Ca拮抗薬を服用すると、 カルシウムが血管の筋肉を縮めようとする働きを抑制し、血管を広げて血圧を下げることができます。これは細胞膜を隔てた細胞内と細胞外に生じる電位差を利用したもので、血管平滑筋にカルシウムイオンが流入し、筋肉を収縮させるのを防ぐことができます。

この降圧効果がほかの薬と比較して強力で、かつ、副作用が少ないため、幅広い病気に使うことができます。糖代謝、脂質代謝、電解質代謝に悪影響を与えないことなどから、ほかの病気を併発している患者も使用が可能です。特に、心臓の血管(冠動脈)に作用すると、心臓への血液の量が増やすことができるだけでなく、血管のけいれんにも対応できるため、狭心症の症例によく用いられます。

Ca拮抗薬にはどんな種類があるの?

代表的なCa拮抗薬は、ジヒドロピリジン系というグループのものです。このグループの薬は抹消血管に作用して血管を拡張し、心臓に対してはほとんど作用しないという特徴(血管選択性)があります。ジヒドロピリジン系の薬は種類が多いため、その一部をご紹介します。

ジヒドロピリジン系
  • ニフェジピン(商品名:アダラート®︎、アダラート®︎L、アダラート®︎CR、セパミット®︎、セパミット®︎R)
  • アムロジピン(商品名:ノルバスク®︎、アムロジン®︎)
  • エホニジピン(商品名:ランデル®︎)
  • シルニジピン(商品名:アテレック®︎)
  • ニカルジピン(商品名:ペルジピン®︎、ペルジピン®︎LA)
  • ニソルジピン(商品名:バイミカード®︎)

このほか、ジヒドロピリジン系ではない薬として2つのグループがあります。

ベンゾチアゼピン系(非ジヒドロピリジン系)
  • ジルチアゼム(商品名:ヘルベッサー®︎、ヘルベッサー®︎R)
Ca拮抗薬・スタチン配合剤
  • アムロジピン・アトルバスタチン(商品名:カデュエット®︎)

Ca拮抗薬の副作用や服用時に気をつけたいポイントは?

副作用が少ないことがメリットとされているCa拮抗薬ですが、まったくないわけではありません。気をつけるべきことがいくつかあります。

代表的な副作用は、吐き気や食欲不振などの消化器症状、頭痛やふらつきなどの精神神経系症状、血圧変動や徐脈などの循環器系の症状、肝機能検査値の異常、歯肉肥厚、むくみ、便秘などがあります。また、頻度は稀ですが、うっ血性心不全を引き起こす可能性もあることには注意が必要です。

さらに、Ca拮抗薬の種類ごとにも注意点があります。ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は血管選択性が高く、強力な降圧にともなって、脈数が増える可能性があります。一方、非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は心抑制のために心不全や高度の徐脈例には用いることができません。

動くと息が苦しい、疲れやすい、足がむくむ、急な体重増加、発熱、発疹、吐き気、食欲不振、黄疸などがみられる場合は、すぐに医師に相談してください。

おわりに:Ca拮抗薬にも副作用はある。種類による違いにも注意しよう

Ca拮抗薬は、カルシウムが血管などで筋肉を縮める働きを抑制し、血管を広げて血圧を下げることができる薬です。副作用が比較的少ない薬として知られていますが完全にないわけではなく、薬のグループなどによって特徴もあるので注意しましょう。

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