抗血小板薬の働きは?どんな薬があるの?

2019/5/21

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

抗血小板薬は、血液が固まるのを防ぐ役割を持つものです。この記事では、抗血小板薬の働きとともに、その種類や起こりうる副作用について解説します。

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抗血小板薬とは

抗血小板薬とは、血管内に血栓(血液のかたまり)ができるのを防止して血液をサラサラにする薬です。

血小板は直径2~5μmの血管壁の近くを流れている円盤状の細胞で、ひとたび血管が傷つくとすぐさま止血しようと傷口にくっつき、活性物質を出して周囲の血小板とくっつきあってかたまりを作ります。さらに、血液を凝固するタンパク質によって強固な血栓を作ります。

血流の速いところでは血小板が活性化しやすく、動脈硬化などにより血管が傷つくと、この仕組みが「血栓症」につながって虚血や梗塞を引き起こします。また、血栓がはがれて別の場所の血管を塞ぐと「血栓塞栓症」を引き起こすきっかけとなります。

主な抗血小板薬は?

抗血小板薬として主に使われるものとして、以下のようなものがあります。

チクロピジン塩酸塩(商品名:パナルジン®)
血小板同士の結合を促す物質が血小板の受容体に結合するのを抑えることで、血小板の働きを抑制します。
アスピリン(商品名:バファリン®、バイアスピリン®)
血小板の働きを活性化するのに必要な酵素(COX)の働きを抑えることで、血小板同士の結合や血小板の働きを活発にする物質の放出を抑えます。
シロスタゾール(商品名:プレタール®)
血小板の働きを活性化するのに必要な酵素(PDE)を抑えることによって、血小板の働きを抑制します。

抗血小板薬服用中に起こる可能性がある副作用は?

共通する副作用として、鼻血、歯ぐきからの出血、皮ふの内出血などがあります。また、それぞれの薬に特有の副作用として、以下のようなものがあります。

パナルジン®︎
まれにみられる重い副作用を避けるため、2週間に1回の血球算定、肝機能検査を行います
重い副作用として、頭痛、吐き気、おう吐、しびれ、まひ、吐血、血便、血痰、うまく話せない、意識がもうろうとする、息苦しいといった症状のほか、全身の倦怠感や食欲不振、疲れやすさなどの肝症状、原因のわからない発熱やのどの痛み、皮下出血などの血液症状、紅い斑点などの皮疹などがあらわれる場合があります。
バファリン®︎
胃が荒れたり、腹痛がみられたりします。
バイアスピリン®︎
まれに出血傾向が消化管出血や脳出血、消化管潰瘍や胃腸出血をおこすほか、肝症状、喘息発作を起こす場合があります。
プレタール®︎
頻脈や動悸がおこる場合があり、特に心疾患のある人は狭心症を誘発するおそれがあります。また、まれに重大な出血や血液症状、肝症状、胃潰瘍や十二指腸潰瘍をおこす場合があります。

いずれの場合も、副作用の初期症状が疑われる場合にはすぐに医師に連絡し受診してください。

おわりに:血栓を防ぐ薬で、血小板同士の結合や血小板の働きを活発にする物質の放出を抑えます

抗血小板薬は、血管内の血液のかたまりである血栓ができるのを防いで血液をサラサラにする薬です。血小板同士の結合を促す物質が血小板の受容体に結合するのを抑えるパナルジン®、血小板の働きを活性化するのに必要な酵素(COX)の働きを抑えるバファリン®やバイアスピリン®、同じく酵素(PDE)を抑え血小板の働きを抑制するプレタール®などがあります。また、出血しやすい副作用がありますので、服用中に気になる症状がみられたら、医師・薬剤師に相談しましょう。

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