骨粗鬆症の治療薬、抗RANKLモノクローナル抗体とは?

2019/5/29

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

骨粗鬆症を発症した方に処方される薬のひとつに、抗RANKLモノクローナル抗体があります。この記事では、抗RANKLモノクローナル抗体がどのような働きをする薬かや、どんな薬があるのかをご紹介します。

抗RANKLモノクローナル抗体とは

「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」とは、骨密度の低下や骨質の劣化によって骨の強度が低下する病気です。発症すると、骨を壊す細胞(破骨細胞)と作る細胞(骨芽細胞)のバランスが崩れて骨がもろくなり、転倒などによる骨折の危険性が高くなります。

モノクローナル抗体とは、特定の物質に結合する抗体として造られた薬のことです。「抗RANKLモノクローナル抗体」は、破骨細胞を作ったりその機能を促進する体内物質「RANKリガンド」(RANKL)に結合してその働きを阻害します。RANKLは骨芽細胞から生まれるもので、何らかの原因により過剰につくられると破骨細胞によって骨を壊していきます。

抗RANKLモノクローナル抗体は、これを抑制することで骨密度を高めて骨粗鬆症を改善するほか、関節リウマチにおける骨びらんの進展や関節の骨破壊を抑えたり、多発性骨髄腫や骨巨細胞腫の治療に用いられることもあります。

抗RANKLモノクローナル抗体の治療薬は?

抗RANKLモノクローナル抗体の治療薬として「デノスマブ製剤(商品名:プラリア®)」があり、骨粗鬆症や関節リウマチの骨びらんの進行の抑制に使われています。

骨粗鬆症の治療薬として使用する場合、通常、本剤の成分であるデノスマブ60mgを6カ月に1回皮下投与(注射)します。ただし、この薬の投与により低カルシウム血症があらわれる場合があるため、カルシウムおよびビタミンD製剤(デノタス®チュアブル配合錠)を併用します。

ただし、過敏症の方や妊産婦には使用できないほか、男性への使用には注意が必要です。また、化学療法や血管新生阻害薬治療、副腎皮質ホルモン剤による治療を行っている場合には顎骨壊死や顎骨骨髄炎をおこす可能性があり、薬剤との相互作用にも注意が必要です。

服用時に起こり得る副作用や、服用時の注意点は?

背中の痛みやγ-GTPの上昇、高血圧、関節痛などのほか、消化器症状として口内炎、口腔ヘルペス、上腹部痛などが、皮膚症状として湿疹があらわれる場合があり、まれに蜂巣炎などの重大な皮膚感染症が出ることもあります。発赤、腫脹、疼痛、発熱などの症状が出た場合は放置せずに医師や薬剤師に連絡しましょう。

また、まれにQT延長(特徴的な多型性心室頻拍をおこすことがある)、痙攣、テタニー(強直)、しびれなどを伴う重大な低カルシウム血症があらわれる場合があります。非常にまれですが顎骨壊死や顎骨骨髄炎などがあらわれる場合もあり、歯肉の痛みや腫れ、炎症、歯のぐらつき、顎のしびれなどがあれば医師や薬剤師への連絡が必要です。

また、この薬による治療の中止後に多発性椎体骨折(背骨の骨折)があらわれる場合があります。疑わしい症状があれば、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

おわりに:破骨細胞を活性化させる体内物質に結合してその働きを阻害し、骨密度を高めます

抗RANKLモノクローナル抗体は、破骨細胞を作ったりその機能を促進する体内物質RANKリガンド(RANKL)に結合してその働きを阻害し、骨密度の低下を抑え骨粗鬆症を改善します。主な治療薬として「デノスマブ製剤(商品名:プラリア®)」があり、低カルシウム血症があらわれるのを避けるために、通常、カルシウムおよびビタミンD製剤(デノタス®チュアブル配合錠)が併用されます。

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