うつ病における「うつ状態」ってどんな症状?対処法は?

2019/5/6

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

うつ病と聞くと「気持ちが落ち込んだ状態が続く」とイメージする方が多いと思いますが、具体的にはどのような状態を指し、どのような症状を伴うものなのでしょうか。

今回はうつ病における「うつ状態」がどんな状態なのか、進行すると見られる症状などを具体的に紹介しながら解説します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

うつ病における「うつ状態」とは

うつ病における「うつ状態」とは、目の前の状況や出来事に関係なく、物事に対する関心・意欲を失い、無気力な状態が2週間以上ずっと続く状態を指します。この状態がほぼ24時間、2週間以上にわたって続くと、やがて食べることも眠ることも、話すこともままならなくなり、日常生活にも影響を及ぼします。

このように、重度の気分の落ち込みが持続的に長期間続き、改善のきざしが見られないまま日常生活に支障をきたす状態をうつ病における「うつ状態」と定義するのです。

うつ状態が進むとみられる症状は?

うつ状態が続き、症状が進行すると精神と身体それぞれに、以下のような症状の変化がみられるようになります。

うつ状態が進むことによる、精神状態の変化

  • 抑うつ気分:何をしても気分が晴れない、楽しくならない
  • 意欲や興味の減退:これまで好きだったことでも、全く楽しめなくなる
  • 仕事能力の低下:気分の落ち込みから集中力が低下し、仕事などでミスを連発する
  • 不安、取り越し苦労:悪い予測や記憶や、悲観的な考えだけを頭の中で繰り返してしまう
  • 強い焦燥感:イライラして、じっとしていられなくなってしまう
  • 希死念慮:消えたい、なくなりたい、死にたいなどと考えてしまう  など

うつ状態が進むことによる、体の変化

  • 睡眠障害:寝付けない、眠りが浅い、早朝に目が覚める、寝すぎるなどの
  • 摂食障害:食事がおいしくなくて食べられない、逆に食べすぎてしまう
  • 疲労・倦怠感:疲れやすくなり、慢性的にだるさを感じるようになる
  • 性欲低下:性欲が低下する
  • 体の痛み、筋肉の張り:肩や首、腰などに現れやすい
  • 頭の重さ、頭痛  など

なんだか気分が晴れないな…と思ったら

気分が晴れず落ち込んだ状態を脱し、うつ病にまで進行する前にできる予防対策として、以下5つのポイントに配慮して日常生活を送るのが効果的です。

  1. 心身がひどく疲労する前に十分な睡眠をとり、体と心に休養を与える
  2. 悩んでいることを1人で抱え込まず、周囲に相談するクセをつける
  3. 周囲の目を必要以上に気にしないで、肩の力を抜いてマイペースに生活する
  4. 完璧主義、完全主義にならず、何事にも柔軟性と気持ちの余裕をもって臨む
  5. 日々の小さな苛立ちやストレスは、スポーツや趣味でこまめに解消を

なお、上記5つを実践しても気分が晴れないときは、もう自分でうまく気持ちの切り替えができない段階にまでうつ症状が進行している可能性もあります。

うつ状態になると「病院に行っても元気になれない」と否定的な考えに陥りがちですが、適切な治療で心身を休ませることができれば、改善できる可能性も十分あります。

どうしても気分が晴れないとき、ひとつの方法として精神科・心療内科で医師に診てもらうことも、大切な選択肢の1つであることを覚えておきましょう。

おわりに:うつ病の「うつ状態」は、日常生活に大きく支障をきたす状態です

うつ病における「うつ状態」は単なる気分の落ち込みではなく、物事への興味・関心を著しく失い、日常生活に支障をきたす状態が2週間以上続くことです。うつ状態が長く続き、症状が進行すると、心身にさまざまな異常症状が現れ、自力で回復することがどんどん難しくなります。日頃からストレスを溜めず、気分を楽しい方へ切り替えることを心がけながら、病院にかかることも選択肢に入れて、自分の心と体を守りましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

うつ(49) うつ状態(3) 気分が晴れない(1) メンタル不調(1)