動物と触れ合った後に感染症にかかることはある?予防するには?

2019/4/28

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ペットをはじめ、動物園で触れ合えるものから野生動物まで、動物と接触することが原因で発症する感染症があります。
この記事では、動物との触れ合いで起こることのある動物由来の感染症について、どんなときに感染のリスクがあるのか、予防対策とあわせて解説します。

動物と触れ合うことで感染症にかかることがあるの?

動物との触れ合ったことがきっかけで発症する感染症を動物由来感染症と言います。動物由来の感染症が人にうつり、拡がっていくルートとして、直接伝播(ちょくせつでんぱん)と間接伝播(かんせつでんぱん)の2種類あります。

直接伝播とは
動物から受けた噛みキズやひっかき傷、また動物に傷口を舐められたことで、病原体が人体に侵入して感染するパターンです。
また、傷口以外にも、動物の体や糞尿に付着していた病原体にたまたま触れてしまったり、動物の咳やくしゃみを直接受けたりすることも直接伝播に含まれます。
間接伝播とは
虫などの他動物の媒介、水や土の媒介、または汚染された食品を媒介として、動物由来の病原体に間接的に感染することを間接伝播いいます。虫などの媒介によるものを「ベクター媒介」、水や土によるものを「環境媒介」、食品によるものを「動物性食品媒介」として、それぞれ区別して考えるのが一般的です。

動物由来の感染症にかかる可能性があるのはどんなとき?

ここからは、動物由来の感染症にかかる可能性がある場面について解説します。基本的には、以下いずれかの方法で動物に接触している限り、動物由来の感染症にかかる可能性は常に存在しています。

人間と非常に近い距離で暮らしているペットとの触れ合い
例)犬、猫、うさぎ、ハムスター、鳥類、フェレット、モルモット  など
アウトドア先や、居住地の近隣で遭遇する野生動物との触れ合い
例)ネズミ、タヌキ、イタチ、アライグマ、猿、キツネ、鳥類、シカ、コウモリ など
産業や農業などのために飼育されている家畜、家きんとの触れ合い
例)ウシ、豚、ウマ、ヒツジ など
動物園や水族館、一部植物園などで展示されている展示動物との触れ合い
例)ヤギ、ウサギ、豚、ヒツジ、ウマ、キリン、ゾウ、猿  など

動物園で感染することはある?

日本の動物園において、展示動物による動物由来の感染症の来園者への発生が確認されているのは、2001年12月の1件のみです。この1件の感染例は、社団法人 日本動物園水族館協会非加盟の鳥類専門の飼育展示施設で、飼育員と来園者の両方にオウム由来の集団感染が発生したものと報告されています。

なお、本件以外に日本の一般的な動物園で感染が起こった事例はありません。基本的な衛生管理を徹底している一般的な動物園であれば、日本の動物園の利用で動物由来の感染症にかかるリスクはほとんどないと考えて良いでしょう。

動物由来の感染症を予防するには?

考えられる感染経路別に、私たちが日ごろから動物由来の感染症を防ぐためにできることとしては、以下が挙げられます。

ペットや家畜に対して
  • 法で定められた登録と予防注射、薬剤の投与などを徹底する
  • こまめにブラッシングや爪切りをして、動物自体の衛生状態を良くする
  • 口移しや食器の共有など、必要以上の接触は避ける
  • 糞や尿などの排泄物は、手袋などをして速やかに処理する
  • 羽毛や皮膚、乾いた排泄物などが充満するのを防ぐため、こまめに換気する
  • ペットの健康状態に常に気を配り、様子がおかしいときは獣医に診てもらう
野生動物や展示動物に対して
  • 野生動物に遭遇しても、原則的には近づかず接触しない
  • 接触の前後には、必ずしっかりと手洗いと消毒をする
  • 動物と接触した後、手洗いの前に顔や口を触らない
  • 気づかないうちに病原体に触れているリスクがあるため、砂場や公園、山の中などで遊んだら必ず手を洗う

以上に注意し、もし動物との接触後に体調不良が現れたら、重症化する前にできるだけ早く病院に行って診察を受けてください。

おわりに:動物との接触によって感染症を発症するリスクはある。適度な距離を保つことが大切

動物は、私たち人間とは異なる体の仕組みを持っています。それゆえ、人間にとって病原体となるものが彼らの糞尿や皮膚、体毛や体液に含まれている可能性があります。動物由来の感染症のリスクは、野生動物のみならずペットや動物園の展示動物まで、すべての動物に存在しています。動物由来の感染症を防ぐには、動物と適度な距離を守って接触することが大切です。

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