肝炎治療で使われるインターフェロン製剤の特徴は?

2019/6/21

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

肝炎の治療に使われる薬剤の一つに、インターフェロン製剤というものがあります。インターフェロンとは、体内にウイルスや腫瘍細胞などの異物が入ってくると作られる物質で、免疫機能をコントロールします。
肝炎は生活習慣以外にもウイルスによって引き起こされるため、インターフェロン製剤はこのウイルスを抑えます。では、インターフェロン製剤にはどのような特徴があるのでしょうか?また、どんな副作用があるのでしょうか?

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

肝炎治療におけるインターフェロン製剤の働きは?

インターフェロン製剤は、ウイルスや腫瘍が増殖するのを抑える働きがあります。したがって、肝炎の中でもウイルス性のB型肝炎やC型肝炎の治療に使われます。B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)にそれぞれ感染することで発症し、さらに慢性化しやすい疾患です。肝炎が慢性化すると肝硬変や肝がんを引き起こしますので、慢性化する前に治療することが大切です。

インターフェロンとは、体内に侵入してきたウイルスなどの病原体や、腫瘍細胞などの異物に対して産生される「サイトカイン」というタンパク質の一種です。ウイルスを抑制する作用から、ウイルス干渉因子(Interference Factor)→Interferon(インターフェロン)と呼ばれるようになりました。

インターフェロンが作られると、細胞にシグナルが送られ、細胞内に感染したウイルスの遺伝子を切断したり、ウイルスの体を作るためのタンパク質が作られるのを阻害したりする物質を産生し、ウイルスの増殖を防ぎます。これを抗ウイルス作用と言い、通常は体内で産生されるインターフェロンだけで十分ウイルスを排除できます。

しかし、HCVなど感染が慢性化しやすいウイルスでは、体内で産生するインターフェロンだけではウイルスを排除しきれないため、体外からインターフェロンを追加してやる必要があるのです。これがインターフェロン療法と呼ばれる肝炎の治療法です。インターフェロンはα、β、γの3種類が発見されていて、主に肝炎ウイルスの治療に使われるのはα・βで、γはαとβの効果を増強する働きがあり、胃がんやT細胞性白血病などの治療に使われます。

インターフェロン製剤はどのくらい効くの?

インターフェロン製剤は、効きやすい人と効きにくい人がいることがわかっています。これは、体内に存在するHCVの量やタイプ、さらに本人の体調や状況にもよるからです。全体的にはインターフェロン療法中にALT(GPT)値が下がる(肝炎ウイルスによって破壊される細胞が少なくなったと考えられる)、HCVの量が減少するなど病状が改善される人は約70%、最終的にHCVを排除できた人は約40~70%であることがわかっています。

また、最近では、インターフェロン療法によってHCVを完全に排除できなかった場合でも、ALT(GPT)値が下がるなどの病状の改善がみられていた場合、肝硬変や肝がんへ進行するリスクが低くなることがわかってきました。

インターフェロン製剤はウイルスの増殖を抑える薬剤ですから、当然、そもそも体内にいるウイルスが少ない人の方が効きやすいです。体内のウイルス量は、肝炎ウイルスに感染してから発覚して治療を始めるまでの期間や個々人の体質など個人差が大きく、多い人は少ない人の1億倍とも言われます。体内に存在するウイルスが少なければ少ないほど、インターフェロン製剤で排除しやすいです。

さらに、HCVの中にもインターフェロン製剤が効きやすいものと効きにくいものがあります。日本で見られるHCVは大きくグループ1と2に分けられますが、グループ2の方は比較的インターフェロン製剤が効きやすいグループです。

肝炎治療で使われるインターフェロン製剤は?

一般的に肝炎治療で使われるインターフェロン製剤は、以下の2種類です。

ペガシス®︎
ペグインターフェロン-α-2a製剤
C型肝炎の他、B型肝炎に対しても保険適用となる
ペグイントロン®︎
ペグインターフェロン-α-2b製剤
C型肝炎の他、悪性黒色腫に対しても保険適用となる

インターフェロンにPEG(ポリエチレングリコール)という物質を結合させ、注射後のインターフェロンの吸収・分解を遅らせて持続性を高めたものをペグインターフェロン製剤と言います。これにより、従来は作用の持続性が低く、連日または週3日の投与が必要だったインターフェロン製剤が、週1回の投与で済むようになりました。

これらのインターフェロン製剤は、いずれも2a、2bという「グループ2」に属する、インターフェロン製剤が比較的効きやすいHCVに対する薬剤です。抗ウイルス薬であるリバビリン(商品名:レベトール®︎またはコペガス®︎)と併用して使われることもあります。その結果、HCVに対する効果が非常に高くなりましたが、一方で副作用が起こるリスクも高くなっていますので、投与には十分注意が必要です。

インターフェロン製剤で起こる副作用は?

インターフェロン製剤の投与によって起こる副作用は、初期・中期・後期でそれぞれ症状が異なります。具体的には、以下のような症状に注意する必要があります。

初期(治療開始~2週間程度)
発熱、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛など風邪のような症状
発疹
中期(2週間後~3カ月程度)
食欲不振、不眠、イライラ
うつ状態、視力障害
後期(3カ月以降)
脱毛
間質性肺炎による咳、運動時の息切れ
甲状腺機能異常
糖尿病の悪化

初期には、インターフェロンの急激な増加に体がついていけないために起こる症状が多く、特に「発熱」「全身倦怠感」はほぼ全員に現れます。しかし、これらの風邪様の症状は体がインターフェロンの増加に慣れるうち、徐々に軽快していきます。発熱や頭痛がつらい時には、主治医に相談の上、解熱鎮痛剤などを使って症状を抑えることもできます

中期に現れるうつ状態や眼底出血による視力障害などは、症状が現れた場合特に注意して見ていく必要があります。食欲不振や不眠・イライラも軽度であればそれほど気にする必要はありませんが、投与を中止すればこれらの症状もおさまるため、症状がつらい場合は投薬の中止も視野に入れながら主治医とよく相談しましょう。

後期に入り、白血球や血小板が著しく減少する、糖尿病が悪化する、重度のうつ状態になる、甲状腺に異常が現れる、などの症状が出た場合は副作用の重篤さを鑑み、投薬を中止する場合もあります。これらの症状は中期と同様、投薬を中止すれば元の状態に戻ります。

後期には、まれに「間質性肺炎」を引き起こすことがあります。間質という肺の肺胞と肺胞を仕切る壁の部分に炎症が起きた状態で、痰の絡まない乾いた咳と運動時の息切れが特徴です。間質性肺炎は放置していると死に至ることもある危険な疾患ですから、インターフェロン製剤を投与中にこれらの症状が現れた場合、すぐに医師に相談しましょう

漢方で肝臓を保護するとされている「小柴胡湯(ショウサイコトウ)」を併用すると、この間質性肺炎を引き起こしやすいと言われています。ですから、インターフェロン製剤の投与をしている間は、絶対に小柴胡湯を服用しないよう気をつけましょう。

おわりに:インターフェロン製剤は主にC型肝炎ウイルスを排除する

インターフェロン製剤は、C型肝炎ウイルスのうちグループ2に属するタイプのウイルスを排除するのに使われます。B型肝炎ウイルスに対しても効果を表すものもあり、主にウイルスの増殖を抑制する働きがあります。

インターフェロン製剤は、投与開始後初期・中期・後期で現れる副作用が異なります。初期には風邪様で比較的軽い副作用が多いですが、中期〜後期には重篤な副作用が出る可能性もありますので、十分注意しましょう。

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