記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2024/4/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
海外旅行が決まったらパスポートの取得から始まり、持っていく物の準備や現地のリサーチなどやるべきことがいっぱいで大忙しです。でも、海外旅行に出かける前にやっておきたいことは、ほかにもたくさんあります。旅行先で感染症にかからないための予防対策も大切な対策のひとつです。今回は、海外旅行に出かける前やっておきたい感染症の予防策や海外の感染症の情報をお伝えします。
海外旅行先の事故やケガなどと同様に、感染症にも気をつけておく必要があります。途上国などでは、食べ物や飲み物を介してうつる経口感染が多く、蚊や野良犬、水や土からの感染にも特に気をつけておかなければいけません。
海外旅行先でかかりやすい感染症には、以下があります。
食べ物や飲み物から移る感染症は下痢を起こすものが主です。ただし、A型肝炎やE型肝炎などのように下痢が主な症状ではない感染症もあります。経口感染で起こる感染症は、A型肝炎、E型肝炎、腸チフスなどがあります。
海外旅行、とくに発展途上国では、水道水やサラダ、生の魚介類や肉類は避け、ペットボトル入りの飲料水と加熱処理されたものを食べましょう。
蚊やダニが媒介となって起こる感染症には、デング熱やマラリア、ジカウイルス感染症、ウエストナイル熱などが挙げられます。
蚊やダニによる感染症が流行している地域では、虫よけ剤や蚊取り線香を使用し、露出の多い服は避けるようにしましょう。
非日常ということもあり、渡航先ではさまざまなことが無防備になりがちです。これは性関係のことにもいえることですが、不特定の方との性交渉は性感染症のリスクを高める可能性があります。梅毒や淋病、B型肝炎、HIV感染症などの感染症にならないためにも、不特定多数の性交渉は避け、避妊具は正しく使用しましょう。
日本の風邪と同じように、海外にも人から人へうつる感染症がありますので、海外でも飛沫感染や空気感染などで起こる感染症に注意しておきましょう。くしゃみや咳などの飛沫感染には、インフルエンザや風邪など、空気感染では結核、麻しん、水ぼうそうなどが挙げられます。
また、渡航先の病院は医療費が高額であることが多く、何も知らずにそのまま病院を受診すると驚くほどの金額を請求されることになってしまいます。旅行申し込み時には、海外旅行保険の加入も忘れないようにしましょう。
海外旅行先や途上国では、犬やキツネアライグマなどの動物に咬まれることで感染する狂犬病に注意しなければなりません。万が一、渡航先で動物に噛まれたらすぐに傷口をよく洗い、現地の医療機関を受診しましょう。また帰国時に検疫所に報告し指示を受ける必要があります。
海外には日本国内に持ち込まれていない感染症も多く、あらかじめ感染症の予防対策をしておくことが大切です。旅行前には医療機関で診察を受けることや必要に応じて予防接種を受けましょう。
近年、海外旅行保険が充実しており、現地での急病や怪我でも安心して治療を受けることができるような保険があります。しかし、旅行前からしっかりと対策を講じておくことは非常に大切です。まずはかかりつけ医や近くの医療機関を受診し、体調管理や服用中の薬、常備薬についての説明を受けましょう。
感染症の中には、病原体に対して直接治療することができないものもあるので、あらかじめ感染する恐れのある病原体の予防接種を受けましょう。海外旅行先や現地での過ごし方によって必要な予防接種は異なり、渡航先によっては予防接種を受けていないと入国できない国もあります。事前にしっかりと確認し必要に応じて予防接種を受けましょう。
海外旅行が決まったら渡航先の感染症の流行状況や予防方法、現地で体調が悪くなった場合の対応などを調べておくことで、もし現地で感染症にかかってしまった場合でも、落ち着いて対処することができます。
現在はインターネットで渡航先の感染症の流行状況や予防接種の受け方、現地での対処法などを扱っている国や地方自治体などのホームページも多数あり、根拠のある有益な情報が数多く掲載されています。以下のサイトや各自治体のホームページなどを使用しながら、予防接種や事前の対策や情報収集に努めましょう。
海外旅行が決まったら、現地のリサーチや準備など大忙しです。旅行を楽しむためには感染症にかからないために予防接種を受けることや渡航先で流行している感染症を把握して対策をしておくことが大切です。国や地方自治体などの公的機関の情報をうまく利用し、かかりつけ医や近くの医療機関の診察や予防接種を受けるなどの事前準備をして、海外旅行を楽しみましょう。