塩分を摂りすぎでむくむ理由は?摂りすぎなくてもむくむのはなぜ?
2019/7/3
いつもより靴がきつい、足がだるいと感じたら「むくみ」の可能性があります。しかし「むくみ=塩分の摂り過ぎ」とは限りません。この記事ではむくみの原因やメカニズム、関連する病気などについて紹介します。
塩分を摂りすぎると体がむくむのはなぜ?
体内には、塩分の濃度を一定にしようという働きがあります。塩分を多く含んだ食べ物を摂取すると塩分濃度を薄めるために水分が必要になり、体は水分をためこみます。皮膚から下は、下記のような順番で体内組織が位置しています。
- 皮膚
- 細胞
- 細胞間質液(細胞と細胞の間を満たす液体)
- 毛細血管
塩分濃度が一定の体内では、毛細血管が適切な量の酸素や栄養素を細胞に届けています。
塩分濃度が高くなった体内は水分を多くためこもうとしますので、毛細血管から細胞間質液にしみ出す水分量が増えてしまいます。また細胞間質液のほうから血管へ戻す水分量が減ります。これが「むくんでいる」状態で、医学用語では「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれます。ただしむくみは病気ではありません。
むくみによる体の変化
- 喉が渇く
- 体が重たい感じがする
- 靴がきつくなった
- 靴下のあとがいつもよりくっきり残る
正常な塩分濃度を保つための塩分摂取量目安は性別、血圧、既往歴などによって異なります。心疾患などの治療を行っている方は、医師が指示する塩分摂取量を守るようにしましょう。
むくみの原因は塩分だけではない!
塩分の摂り過ぎのほか、病気などのために体内の水分量コントロールが正常に働いていないとむくみが生じることがあります。この場合、下記のような病気や条件が関係している可能性があります。
- 静脈の血圧上昇
- 病気によって静脈の血流が滞ったり、血管内の水分量が多くなることがあり、むくみを引き起こします。
関連する病気:心不全、腎不全、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、子宮筋腫、血栓、腫瘍、血管の圧迫など - 栄養不足、浸透圧の低下
- 血液に十分な栄養が行き届かないと、血管内の水分を保つ浸透力が低下します。すると血管の中から外へと水分が出ていき、むくみが発生します。
関連する病気:栄養失調、ネフローゼ症候群、肝硬変など - 血管透過性の亢進
- 血管の中と外を物質が出入りする血管透過性が亢進すると、水分が血管の外に出ていき、むくみが発生します。
- 関連する病気:膠原病、内分泌疾患など
- リンパ管の閉塞
- リンパ節を取り除く手術や放射線治療の影響でリンパの流れが停滞すると、「リンパ浮腫」と呼ばれるむくみを引き起こします。
上記のほか、長時間同じ姿勢でい続けるとむくみを引き起こす場合があります。これは重力によって水分が下肢にたまるためです。また、ふくらはぎの筋力低下や運動不足がむくみの原因になることもあります。ふくらはぎの筋肉は心臓へ血液を送り返すポンプ機能を果たしているため、この筋肉が低下すると下肢に水分を含む血液がたまりやすくなるからです。
むくんだらすぐに病院へ行ったほうがいい?
塩辛いものを食べたあとや長時間座りっぱなしでいたあとにむくみが発生した場合、1日で症状が治まるなら病院を受診する必要はありません。ただし、病気の症状としてむくみがあらわれることがありますので、むくみなどの症状のあらわれ方によっては適切な対処が必要です。
緊急対応が必要な症状
食事や服薬の直後にむくみが発生した場合、「血管運動性浮腫」の可能性があります。救急車を呼んですぐに病院を受診してください。
早めの対応が必要な症状
下記の症状があらわれたら、できるだけ早く病院を受診してください。
- 薬を飲み始めたり変えたりしたらむくんだ(薬剤性浮腫)
- 一週間前ほどに発熱し、むくみが発生してきた(溶連菌感染後糸球体腎炎)
- 数日間、局所的にむくみが出た
- 尿が泡立つ
- 夜に息苦しさを感じる
- 横になると苦しい
1カ月以内の受診が必要な症状
- 関節の痛みを伴うむくみがあらわれた(膠原病)
- 足の静脈が浮き出てきた(下肢静脈瘤)
- 急な体重減少(甲状腺疾患)
- 肝臓に不調を抱えていて、むくみが発生した
- 疲れやすい
- 脈拍がとても遅いまたは速い
- 汗の量が急に増え、暑がりになった
- 汗の量が急に減り、寒がりになった
おわりに:むくみは塩分過多のほか病気のサインかも。早めに受診しましょう
むくみは「塩分を摂り過ぎたせいだから」と思われがちですが、実は体から出ている病気のサインかもしれません。なかなか治まらない場合や気になる症状を伴うむくみがあらわれたら、早めに病院を受診しましょう。