5月病の原因と早期発見に役立つ症状のチェックリスト

2024/5/8

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

春になると5月病という言葉を耳にする機会が増えます。「連休中にしっかり休んだぶん、すっきりとした気持ちで仕事しよう、と思っていたはずなのに、なんだか気分が晴れない」と感じている人は、5月病が原因かもしれません。この記事では、5月病の原因とおもな症状のチェックリストについて、予防対策もあわせて解説します。

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5月病の原因について

5月病は毎年春ごろによく耳にする言葉ですが、正式には医学的に5月病という病名はありません。学校や仕事などにおいて、4月は新しい環境へと切り替わる時期です。人は、新しい環境になるとストレスを感じ、そこに適応するために心理反応や身体反応、行動反応が生じ、さまざまな葛藤に取り組んで頑張り続けた結果、心身の不調が生じます。

新入生や新入社員も、4月から約1カ月慣れない環境に適応しようとがんばり続け、5月頃にストレスの影響が心身に現れる場合があります。5月病は、環境の変化による心理・社会的ストレスと、本人に心身の反応のアンバランスによっておこる「適応障害」の一種とも考えられます。

5月病の原因としてまず考えられるのが環境の変化です。新しい環境に適応しようと肉体的・精神的に蓄積した疲労が、ゴールデンウィークの長い休みでどっと出てしまうことで症状がおこるといわれています。

今までは、こうした環境的な要因のほかに、ストレスを溜めやすい性格も要因になりうるといわれてきました。几帳面なタイプ、責任感が強いタイプ、理想が高いタイプ、何事も我慢しやすいタイプの方などです。もちろんストレスの感じやすさなどには個人差もあるかもしれませんが、近年では必ずしもこれらのタイプにあてはまる性格でなくても、5月病を発症する方が増えてきています。環境の変化や緊張などは、誰にとっても心身にストレスを与えるのです。

5月病の症状のチェックリスト

5月病のおもな症状として、以下が挙げられます。気になる症状や体調・気分の変化がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

精神症状

  • やる気がでない。何をするにも面倒くさい
  • 気分が落ち込みやすい。何をしても楽しいと思えない
  • 集中力が続かない。思考力も低下し、何も頭に入らない
  • イライラがおさまらない。不安や焦りがある
  • 自信がなくなる。誰かと話すのもつらい

身体症状

  • 体がだるい。いくら寝ても疲れがとれない
  • 朝起きることができない
  • よく眠れない。眠っていても途中で目が覚めてしまう
  • 肩こりがひどい
  • めまいがおこる
  • 動悸がする
  • 頭痛がする
  • 腹痛がする

問題行動

  • 学校や仕事を遅刻・欠席してしまうことが増えてきた
  • 酒やたばこなどの量が増えてきた
  • 食欲をコントロールできず食べすぎてしまう

5月病の予防対策

5月病のおもな原因はストレスと考えられるため、予防のためにはストレスをこまめに解消することが大切です。「これをすると楽しい」と感じられる趣味を楽しんだり、好きなものを食べたり、気の合う仲間と遊んだりと、ストレス解消の手段を自分で用意できるとよいでしょう。運動や規則正しい生活など、体のケアもとても大切です。代表的なストレス解消のポイントは以下のとおりです。

ストレスを発散できる趣味をもつ

今まで続けてきた趣味がある場合は、たとえ新しい環境で忙しくなったとしても、なるべく続けるようにしたいものです。とくにこれといった趣味が思い浮かばない人も、子どものころに自分が好きだったことや、インターネットやテレビなどを見ていて楽しそうだと思ったものに挑戦してみるとよいでしょう。

仲間と状況を分かち合う

環境の変化は誰にとってもストレスを与えます。もしかしたら、同じように新しい環境に戸惑っている友達、または会社や学校の仲間がいるかもしれません。お互いに悩みを打ち明けあったり、愚痴を言いあったりするだけでも、ストレスの解消につながる場合があります。

運動をする

精神的な疲労が溜まっているときは、適度に体を動かして肉体的な疲労に変えてしまう方法もあります。精神的な疲労はなかなか回復しませんが、適度な範囲であれば、肉体的な疲労は十分な休息をとれば回復します。「体が重い」と感じていても、実際に体を動かした後に休息をとることで心身ともにスッキリできることもあると思います。

生活のリズムを整える

夜更かしする・昼過ぎまで寝ているなどの生活リズムの乱れは、体内のリズムも乱し、肉体や心の健康に影響します。就寝前のデジタル機器の使用は避け、リラックスして眠りに入れる状態を作るなど、夜気持ちよく寝て朝気持ちよく起きられるような「規則正しい健康的な生活リズム」を心がけましょう。

おわりに:5月病は「適応障害」と呼ばれる精神的な不調の可能性があります

5月病という医学的な病名は存在せず、相当する病気として「適応障害」が考えられます。4月になり、学校や仕事などで新しい環境に切り替わった場合、そこに適応するために心身がストレスをためこみ、ゴールデンウィークなどの長期の休みがきっかけで心身の反応として現れてしまうことなどが5月病のおもな原因として挙げられます。体のだるさなどの身体的不調、集中力不足などの精神的不調などが現れたときは、早めに医療機関を受診しましょう。

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