記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
プール熱は子供にみられる感染症のひとつとして知られていますが、子供を看病する大人に感染することはないのでしょうか。また、もし大人が感染した場合、どのような症状がみられるのでしょうか。この記事では、大人がプール熱に感染した場合の症状とともに、感染拡大を防ぐためのポイントをご紹介します。
「プール熱(正式名:咽頭結膜熱)」とは、「アデノウイルス」というウイルスによって引き起こされる感染症です。発症すると、目が真っ赤に充血したり、目やにが出るなど結膜炎の症状がみられます。そのほか、38~40℃の高熱、のどの痛み、扁桃腺の腫れなどの症状もあり、これらが1週間程度続きます。
アデノウイルスに特効薬はなく、ほとんどの場合自然に治りますが、免疫力が低下しているとまれに肺炎を起こすなど重症化することもあるので注意が必要です。一年中感染はありますが、特に夏場に幼い子どもがかかりやすい感染力の高い病気で、かつてプールの水の消毒が不十分なために流行することがあったことからプール熱とよばれるようになりました。現在では塩素濃度管理の徹底などによりこうした感染はほとんどなくなりましたが、咳やくしゃみによる飛沫感染、タオルやドアノブなどを介した接触感染など、日常生活での感染が増加しています。
プール熱は幼児から小学生の子共に多くみられますが、大人にも感染する可能性があります。大人の場合、プール熱にかかった子共から二次感染するケースが多く、乳幼児や園児、小学生がいる家庭の親は特に注意が必要です。感染すると子共がかかった時と同じように5~7日ほどの潜伏期間を経て発症し、咽頭炎、結膜炎、高熱などがあらわれます。主な症状は1週間ほどで治まりますが、しっかり回復するには2週間ほどかかります。日常生活での予防、感染した子共との接触などに気をつけて、感染を拡大させないようにしましょう。
予防の基本は、感染した人との接触をできるだけ避けること、マスクをしてうがいや手洗いをしっかり行うこと、タオルなどの使い回しはやめてドアノブなど人の手が触れるものは積極的に消毒することです。子どもが感染した場合には、咳やくしゃみのほか目やになどが感染源となるため、目やにを拭き取る際にはハンカチやタオルではなく、ガーゼやティッシュなどを使いすぐに捨てるようにします。
また、主な症状が回復しても便からは30日間ウイルスが排出されるので、オムツの交換で汚染された手指を介して感染が広がることもあります。オムツの取扱いに注意するとともに、交換後には石けんを使って流水で手洗いをしましょう。ウイルスは熱や有効な消毒剤で活動しなくなりますが、目やにや唾液などが多く付着したタオルなどは洗濯機で洗剤を使って洗っても感染する場合があるので、分けて洗うようにした方がよいでしょう。特に、症状がでている人や発病して日の浅い人の感染力は強いので、入浴の順番などへの心配りも大切です。
大人でも日常生活での子どもからの二次感染が多くなっており、感染すると発熱、結膜炎、のどの痛みなど子どもと同様の症状があらわれます。子どもが感染した場合に家庭内での感染を予防するには、目やになどを拭きとったティッシュペーパーなどはすぐに捨て、タオルなどの共用はやめること、赤ちゃんの場合にはオムツ交換などにも十分な注意が必要です。