記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/18 記事改定日: 2020/5/12
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「質のよい睡眠」という言葉を聞いたとき、どのようなことを思い浮かべますか?なんとなく、睡眠時間の長さを思い浮かべがちですが、そのほかにも重要なポイントがあります。この記事では、質のよい睡眠がどのような状態を指すのかを紹介するとともに、質のよい睡眠をとるためにどんな対策がおすすめか解説していきます。
毎日の生活の中で「質のよい睡眠」を意識していない人もいるかもしれませんが、睡眠の「質」がよければ、すっきりとした目覚めを得られることはもちろん、時間にも気持ちにも余裕をもって日常の仕事や生活を送ることができます。
「質のよい睡眠」とは、身体、心、脳がしっかり休息できる睡眠のことです。睡眠の「質」に大きな影響を与えているもののひとつが、睡眠の深さです。睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があります。
私たちは、眠っている間ノンレム睡眠とレム睡眠を行ったり来たりしていて、浅い眠りから深い眠りに入るまでの4つの段階を経て大脳を効率よく休ませています。ノンレム睡眠からレム睡眠の終わりまでは約90分あり、この周期を4~5回繰り返し朝が近づくと徐々にレム睡眠の割合が増えていき、目覚めへと至るのです。
この体のメカニズムに沿った睡眠こそが、気持ちよく目覚められる「質のよい睡眠」だといえるでしょう。
睡眠の「質」の向上に大きな影響を与えているのが、人間の「体内時計」です。1日は24時間で区切られていますが、私たちの体内時計はこの区切りの時間通りに動いているわけではありません。
最新の研究では、体内時計における1日は「24時間11分」と考えられています。1日=24時間と11分程度ズレても何の問題もないように思えますが、これが6日続けば1時間以上(66分)のズレ、1か月続けば5時間以上(330分)のズレることになります。
このズレを生活の中でうまくリセットしなければ、当然睡眠のリズムも乱れてきます。体内時計をリセットするには、太陽の光を浴びることが大切です。できれば、朝食もきちんととりましょう。毎朝太陽を浴びて規則的に過ごすことで体内時計がリセットされ、目覚めから1日をきちんと始めることができるようになります。
睡眠の質を高めるには、夜眠る前の習慣として以下のことに気をつけましょう。
これらを習慣化することで、眠りにつきやすいかたちで体温の下がっていき、睡眠の質を高められます。
睡眠の「質」を上げるためには、寝具やグッズにもこだわりましょう。自分に合った枕やマットレスなどを使い、眠りやすい姿勢をつくれるかどうかが、睡眠の質に大きな影響を与えます。たとえば、枕が合わなくて顎が上がってしまうと、口呼吸やいびきの原因となって快適な眠りを妨げることがあります。
また、パジャマの選びかたも大切です。寒いときはどうしても厚着をして眠りたくなりますが、寝返りが打ちづらくなることがあります。さらに、冷え性の人は靴下を重ね履きして眠りたくなるかもしれませんが、血流が滞るためよくありません。汗をしっかりと吸ってくれる薄手のパジャマを用意しましょう。
眠る前に心身をリラックスした状態にもっていくためには、リラックス効果が期待できるアロマグッズがおすすめです。アロマオイルには香りによって効果効能が違いますが、難しく考えずまずは自分がリラックスできる好みの香りを選んでみてください。
睡眠の質を高めるには、普段から食べものや飲みものにも注意を払う必要があります。
というのも、朝になれば目が覚めて夜になると自然に眠くなる…という私たちの生活のサイクルは、脳内で産生される物質の働きを強く受けていますが、その物質を材料となるアミノ酸「トリプトファン」は体内で産生することはできないからです。
つまり、眠気を誘う物質を安定して作り出すには、トリプトファンを飲食物から摂取する必要があります。トリプトファンは牛乳やバナナ、大豆製品、卵、牛肉などに多く含まれていますので、積極的に摂るようにしましょう。
また、気持ちを落ち着かせる効果のある「GABA」が含まれたチョコレートやトマト、ブロッコリーなども睡眠の質を高める効果が期待できるとされています。
質の良い睡眠をとることができれば、体、心、脳をしっかりと休め、朝からすっきりとした気分で1日をスタートすることができます。朝起きてすぐに太陽光を浴びて食事をとる、眠る前の数時間前から気持ちよく眠りに入るための行動を心がけるなどの対策で、睡眠の「質」を高めていきましょう。