1日に必要な水分量はどのくらい?脱水予防には塩分摂取がマスト?

2019/7/5

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

水分は生命維持に必要で、失った分は補給しなくてはいけません。ところが暑い日やスポーツをした後は自分で思っている以上に多くの水分が失われています。この記事では、体が必要とする水分量や脱水症状のサインを紹介します。

人間が1日に必要な水分量は?

人の体は成人では体重の約60~65%が水分で構成され、生命機能が維持されています。水分は体内を循環しながら栄養素や代謝物を運んだり、老廃物を排泄したり、体温調節をしてくれます。1日に体から排出される水分は成人で約2.5リットルです。

水分排出量/1日
尿や便として排出 約1.6リットル
呼吸や皮膚を通して排出 約0.9リットル
水分補給量/1日
食事から補給 約1.0リットル
体内で飲食物の分解吸収で補給 約0.3リットル
飲料での補給 約1.2リットル

水分排出量と補給量が適切に保たれていると、体内の水分バランスも整います。水分量は多すぎても少なすぎても体に悪影響を招きます。たとえば水分不足は脱水症状や熱中症を引き起こし、過剰な水分は水中毒を発生させ内臓に負担をかけることがあります。

特に水分不足に注意しましょう。自分では十分に水分補給しているつもりでも体からは多くの水分が排出されているため、水分が足りない状態に陥っていることがあります。

水分不足になると、どんな症状が出てくる?

人の体の約60~65%が水分で構成されていますが、水分が減るにつれて体には変化が生じます。

  • 1%不足 喉が渇く
  • 2%不足 脱水症状があらわれる
  • 5%不足 熱中症や脳梗塞などの可能性が高まる
  • 10%不足 筋肉のけいれんや循環不全などが発生する
  • 20%不足 死亡する可能性がある

脱水症状を起こすと血液中の水分量が減り、血液の状態がサラサラからドロドロへと変わります。ドロドロの血液には血栓ができやすく、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす可能性が上昇します。多くの水分が失われると、体内のさまざまな物質のバランスが保てなくなりますので命に関わる状態になります。

脱水状態になりかけているサインは?

喉の渇きなど脱水症状がみられたら速やかに水分補給することが必要ですが、脱水症状は自覚症状が出にくく、重症化するまで気づかないことが多いのが特徴です。症状が悪化する前に、水分不足のサイン「かくれ脱水」の症状があらわれていないか確認しましょう。かくれ脱水には「べた」「だる」「ふら」「いた」の4つのサインがあります。

べた
発汗していないように思えても、首筋などがべたべたしているときは水分が多く失われている可能性があります。
だる
体のだるさがとれないときは脱水症状の疑いがあります。食欲不振時は食事量が減るとともに、水分補給量が低下します。口内の渇きに鈍くなり、水分補給の頻度も少なくなりがちです。
ふら
めまいや立ちくらみ、ふらつきがみられた場合、脱水症状の可能性があります。ドロドロの血液で血流が滞っているために、めまいなどが引き起こされているかもしれません。
いた
足がつる、頭がいたいといった症状は、脱水症状が関係していることがあります。水分不足は体内の塩分、カリウム、カルシウムなど電解質不足を招くためです。

脱水を防ぐには水をたくさん飲めばいい?

一般的な日常生活では、食事と飲料水から十分な水分補給が可能です。こまめに水分補給し適切な水分バランスが保たれることが大事ですので、たくさんの水を飲まなければいけないわけではりません

熱中症予防には塩分補給が必要だと思う方もいるかもしれませんが、塩分補給は必須ではありません。屋外や暑い日にスポーツやレジャーなどで大量の汗をかいた場合は、塩分の排出量が多くなるため、塩分と糖分を含んだ水分補給が必要です。

熱中症予防をするとき
0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100ml)と糖質を含む飲料水
1時間以上の運動をするとき
0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100ml4~8%の糖質を含む飲料水

市販の経口補水液などを摂取したり、1lの水にティースプーン半分の食塩(2g)と角砂糖を溶かしてドリンクを作るなどして補給しましょう。

おわりに:かくれ脱水に要注意!ライフスタイルに合った水分補給をしましょう

体が必要とする水分は、基本的には通常の食事と水分補給で保つことができます。しかし、かくれ脱水のサインがあらわれたら要注意。速やかに水分補給し、症状が治まらない場合や重症のときはすぐに病院を受診してください。ご自身のライフスタイルに合わせて、水分補給を柔軟に調整しましょう。

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