ビフィズス菌は体内でどんな働きをしているの?乳酸菌との違いは?

2019/6/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腸内に生息しているといわれるビフィズス菌は、お腹の調子を整える細菌というイメージが浸透しているかもしれません。この記事では、そのほかにどんな働きをしているのかや、どうすればビフィズス菌を増やすことができるのかを解説します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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ビフィズス菌とは

ビフィズス菌は、人の腸内に最も多く存在する代表的な「善玉菌」のひとつです。食べ物と一緒に入ってくるウイルスや細菌、悪玉菌などの増殖を抑え、腸内の健康を保ちます。人間の腸内には悪玉菌や善玉菌をはじめ、数百種類、数百兆個にも及ぶといわれる腸内細菌が存在しており、これらが常にせめぎ合うことでバランスを保っています。

人の腸内には1~10兆個のビフィズス菌がいますが、その種類は多く、現在では適した環境に応じて約50の菌種に分類されています。ちなみに、人の腸内からは約10の菌種が発見されています。

乳酸菌との違いは?

ビフィズス菌と並んでよく知られている善玉菌として「乳酸菌」があります。ビフィズス菌と乳酸菌の共通点は、人や動物の腸管に生息することと、大量の乳酸を作ることです。

一方、相違点として、ビフィズス菌は大腸にすみつく不規則な形をした棹菌で、酸素のあるところでは育たないのに対し、乳酸菌は人や動物の腸管以外に発酵食品にも生息し、棹状または球状で酸素があるところでも育つことができます。また、乳酸菌が腸内にすむ数はビフィズス菌の1/100以下にすぎません。

そして、乳酸菌は主に小腸で活躍して乳酸を作りますが、ビフィズス菌は乳酸菌だけでなく、大腸に届きにくい酢酸を大腸内で大量に作り、強い殺菌力を発揮すると同時に腸粘膜を保護します。

ビフィズス菌は体内でどんな働きをしているの?

まず挙げられるのは、腸内環境を改善することによる整腸作用です。悪玉菌を抑え、腸内フローラのバランスを整えることで感染防御効果を発揮し、有害菌が出す腸内腐敗産物を減少させて下痢や便秘など排便状態を改善します。

さらに重要な作用として、免疫調節作用があります。重要な免疫器官である腸管を刺激することで免疫力を高め、感染防御のほか発がん抑制、アレルギー症状の改善、脂質代謝改善などにも効果を発揮します。

体内のビフィズス菌を増やすにはどんなことをすればいい?

ビフィズス菌を増やす働きをする「オリゴ糖」を含む野菜や果物などの食品、たとえば大豆やゴボウ、アスパラガス、タマネギ、トウモロコシ、ニンニク、バナナなどをとることを心がけましょう。

あわせて、オリゴ糖を多く含む製品や生きたビフィズス菌を含むヨーグルトなどの発酵乳製品なども上手にとれば、効率良く増やすことが期待できます。

また、ビフィズス菌は偏った食事やストレス、老化、ある種の抗生物質で減少するといわれています。ストレスを溜めない健康的な生活を心がけることも大切です。

おわりに:腸内にもっとも多くすむ善玉菌で、腸内環境を改善するとともに、免疫力も高めます

ビフィズス菌は腸管内にもっとも多くすむ善玉菌で、その数は乳酸菌の100倍以上あります。腸内環境を改善して腸の活動を整え、下痢や便秘を防ぐほか、腸管を刺激して免疫力を高める働きがあります。乳酸菌のように酸素のあるところで育つことはできませんが、大腸に届きにくい酢酸を大量に作ることができ、強い殺菌力を発揮しながら、腸の粘膜を保護します。

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