記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2023/4/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
海外旅行のときにかかりがちな病気は、下痢症、いわゆるお腹のトラブルです。発展途上国などの衛生面が整っていない環境では、飲み水や食べ物が原因の発症が多いので、とくに気をつけておかなければいけません。この記事では、旅行者下痢症の特徴や原因、症状、対策法などをご紹介していきます。万が一旅行者下痢症になってしまったときのための参考にしてください。
海外旅行先の水や食べ物などに含まれる病原体や現地の環境などが原因となり下痢などの症状を起こす病気を旅行者下痢症といいます。
約1ヶ月の途上国滞在で発病率は、20〜60%とされていますが症状は一般的に軽く、大多数は治療をしなくても数日の経過で軽快します。
ただ、旅行者下痢症になってしまった人の約20~30%が旅先で寝込んでしまうことになってしまい、約40%が旅行の日程を変更しなければいけなかったという結果もでています。
せっかくの旅行を台無しにしないためにも旅行者下痢症についてきちんと対策をとっておくことをおすすめします。
旅行者下痢症は細菌やウイルス、寄生虫などの病原体が原因となり起こるものと、滞在先の食事の変化や時差、ストレスなどの環境の変化の2つに大別されます。
それぞれの特徴は以下の通りです。
これらの病原体の多くは、水や食べ物からの感染です。旅行先での食事は楽しみのひとつですが、食べ物や水には十分に注意しましょう。
食用油の違いや香辛料、水の高度の違いは腸を刺激して人によっては下痢を起こします。そのほかに、時差や慣れない環境でのストレスなどで自律神経のバランスが乱れ下痢を引き起こすことがあります。
旅行先で汚染された食物または水の摂取をした場合、12~72時間後に以下の症状が現れます。
感染した病原体により強く現れる症状や重症度は異なります。多くの場合は軽症で、数日で自然に軽快しますが、下痢や嘔吐が続くと脱水症状が起こる場合がありますので、暖かい気候の旅行先では下痢による脱水症状にとくに気をつけましょう。
また、病原体による下痢症のほかに、普段とは違う食べ物や過ごす環境などのストレス、日本との時差による下痢症状にも注意が必要です。胃腸への刺激やストレスなどによる下痢症状は一時的なもので長引くことはまれですが、旅行者の心理状態や健康状態にも左右されるため、旅行前はしっかりと心身の体調を整えておきましょう。
せっかくの楽しい旅行、旅行者下痢症の症状で台無しにしてしまわないように以下のことに気をつけましょう。
インフラ整備されていない旅行先では水道水の使用は病原体の感染の原因となります。飲み物はペットボトルなどに入ったものまたは沸騰させたものを飲み、歯磨きをする際も水道水の使用は避けましょう。
生の魚介類や肉、サラダ、生の乳製品、皮を剥いてある果物は感染症を引き起こす可能性があります。食事際は十分に火の通った、加熱したものを食べましょう。
また、香辛料が含まれているものは腸が刺激され下痢を引き起こすことがあります。刺激物の過度な摂りすぎは控えましょう。
屋台に並んだ食べ物は、食欲を掻き立てるものばかりで購入したいと思わせるものばかりです。しかし、衛生面や安全面を考慮して屋台での食事はなるべく避けましょう。
また、途上国のファストフード店も感染のリスクが高くなります。安全性が確保されているレストランでの食事を心がけましょう。
旅行先は誘惑も多く、十分に気をつけていても旅行者下痢症を発症することがあります。
とくに暖かい地方は脱水症状が重症化しやすいです。経口補水液を準備しておき、移動の際にもすぐに対処できるよう持ち歩くようにしておきましょう。
旅行者に多い下痢症になてしまうと、せっかく予定していた旅行計画を中断しなければいけないこともでてきます。
あらかじめ対策をとっておくことで発症リスクを低くすることができますし、旅行者下痢症になってしまったときでも被害を最小限に食い止めることができます。
旅行を楽しむためにも「備えあれば患いなし」の精神で、旅行者下痢症の対策を万全にしておきましょう。