記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/7/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
そばにいた人が脱水状態と思われる症状で倒れたとき、どのような対処をとるかが重要になってきます。この記事では、脱水症によって倒れた場合の対処法をご紹介します。
脱水症は、体内の水分が足りない状態に陥ることで、毎日の生活の中でも経験する可能性が高い症状のひとつです。代表的な症状として、口の渇き、舌の乾燥、微熱や体のだるさ、立ちくらみ、食欲低下などがあります。意識障害や血圧の低下、頻脈がみられる場合もあるでしょう。重症化すれば、命に関わることもあります。
本人に自覚症状がなく、周囲も気付かないまま脱水症に陥る「かくれ脱水」という症状もあります。とくに、水分量や食事の量が減りがちな高齢者はこの症状に気をつけましょう。
一般的には、脱水症を起こしやすいのは夏です。気温が高く発汗が多くなるため、水分と電解質が失われやすくなるためです。しかし、実は冬でも脱水状態に陥ることがあります。温度・湿度ともに低く空気が乾燥しているため、体内から水分が失われやすくなるためです。「脱水症は夏におこるもの」と決めつけずに、水分補給は常にこまめに行うことが大切だといえます。
脱水症状に陥った人がいたら、まずは意識がはっきりしているかどうかを確かめます。意識がはっきりしているのであれば、ナトリウム(大まかにいうと塩分)やカリウム、カルシウムといった電解質を補給させましょう。これらが含まれている、スポーツドリンクや経口補水液が適切です。
電解質とは体の中で、神経や筋肉機能の調整や、酸と塩基のバランスの維持、水分バランスの維持などの役割を担っています。摂りすぎると中毒を起こす場合がありますが、不足すると生命維持に必要なさまざまな機能に影響が出てしまうのです。
一方、「意識がはっきりとしていない」「反応がおかしい」と感じられる場合は、無理に飲ませることは避けてください。水分が気道に流れ込んでしまう場合も出てきます。意識障害や血圧低下の症状が見られたときは、医療機関で点滴等の処置が必要になるため、すぐに救急車を呼ぶなどの対応をしてください。
意識があるかどうかによって、水分補給に関する対処法は異なります。ただ、たとえ意識がない重症の状態であってもできることはあります。
それは、救急車が来るまでの間脱水症に陥っている人を涼しい場所へ移動させて体を冷やしてあげることです。特に、夏に熱中症を伴うような場合で脱水症状が起こったとき、木陰や室内の涼しい場所に移動させることはとても大切です。また、熱の放射を助けるため、衣服のボタンやきついベルトや下着、ネクタイなどをゆるめましょう。
なるべく皮膚を露出させ、冷水や扇風機の風などをあてて体を冷やします。氷のうなどがあれば、首の両脇やわきの下、太ももの付け根などの太い血管がある個所にあてて体温が下がりやすくなるようにしましょう。
脱水症は、体内の水分が足りない状態に陥ることで、口の渇き、舌の乾燥、微熱や体のだるさ、立ちくらみ、食欲低下などがみられます。意識障害がみられる場合は、すぐに救急車を呼び医療機関で点滴などの処置を受けさせてください。意識がある場合は、電解質を含むスポーツドリンクや経口補水液などを補給させましょう。