記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2023/5/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
夏が近づくにつれ熱中症が話題にのぼる機会が増えますが、最近は気温上昇の影響もあり4月や5月の発症も増えているといわれています。赤ちゃんは熱中症になりやすく重症化しやすいため、とくに早めに対策を始めたいものです。この記事では、赤ちゃんが熱中症になりやすい理由について、予防のためにできること・気をつけることとあわせて解説していきます。
熱中症は、高温多湿の環境で、体内の水分や電解質(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体温調整をはじめとする、からだを維持するための機能がはたらかなくなる状態であり、屋内・屋外関係なく発症します。
めまいや、こむらがえり、筋肉痛といった軽度の症状から、悪化すると頭痛や吐き気、嘔吐、意識障害や手足のけいれん、高熱などが生じます。重症化すると命を失うこともあります。熱中症の症状の特徴や症状が現れたときの対処方法について知っておくことが、発症と重症化の予防にも役立ちます。
哺乳類は、外気温が変化しても、ある程度体温が一定で保たれる「恒温動物」の仲間です。寒いときに体を震わせたり、暑いときには汗をかいたり、呼吸の数を多くして、体内の熱を逃がします。また、皮膚や手足の先の血流を多くすることでも、体温を下げています。しかし、この機能は成長の過程で育っていくため、生まれたばかりの赤ちゃんには、環境に応じて体温を整える機能が十分ではありません。
また、赤ちゃんは、のどの渇きや自身の体調不良を自覚して、ことばでの表現をすることもできません。このため、赤ちゃんは熱中症になるリスクが高く、周囲の人が赤ちゃんのちょっとした変化に気づかずにいると、熱中症が進んでしまう可能性があります。
赤ちゃんの熱中症を予防するためには、周囲の人が熱中症の危険性を理解して、赤ちゃんの体調に気を配ることが大切です。熱中症になりづらい環境を整えることも欠かせません。日差しの強いなかでの外出は避け、赤ちゃんの体力を温存しましょう。また、熱中症は屋内で起こることもあるため、エアコンや扇風機などの空調機器を上手に活用し、水分の補給は、まめにうながします。
外出時に使われるベビーカーは地面から近く、地面からの熱を受けやすくなります。保冷剤をタオルで包んで背中にあてたり、保冷シートを使うなどして、熱の対策をしてください。また、車のチャイルドシートも熱がこもりやすいため、ベビーカーと同じく、保冷剤や保冷シートを準備しておくとよいでしょう。
熱中症は、早い段階で気づいて適切な対処をすることが、重症化の予防にもつながります。いつもよりからだが熱い、頬が赤い、尿が少ない、機嫌が悪いなどといった変化に気をつけるようにし、赤ちゃんに疲れがたまらないように「しっかりと栄養が摂れる」「十分な睡眠が取れる」環境を整えることを心がけるようにしてください。
熱中症は、からだの中の水分や電解質のバランスが崩れたり、体温調節が難しくなることで、からだの機能が十分に働かなくなる状態をいいます。赤ちゃんは体温を調節する機能がまだ発達していないので熱中症のリスクが高く、周囲の人が十分に気を配る必要があります。睡眠や食事のリズムを整えることが難しい時期ですが、できるだけ体調を整え、気温や湿度が高い日には無理せず過ごすようにしてください。