熱中症から身を守るのに役立つ「暑さ指数(WBGT)」とは?

2019/7/1

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

暑さ指数(WBGT)というのを聞いたことはありますか?この指数は熱中症を予防する上でとても役立つ情報です。この記事で詳しく解説したいと思います。

暑さ指数(WBGT)とは

暑さ指数は、熱中症を予防することを目的にアメリカで提案された指標です。WBGT(湿球黒球温度:Wet Bulb Globe Temperature)とも呼ばれます。人間のからだと、外気との熱のやり取りに注目した指標で、以下3つの項目から算出されます。

  1. 湿度
  2. 日射・輻射(ふくしゃ)
  3. 気温

暑さ指数の単位は摂氏(℃)で示されます。温度と同じ単位を使いますが、その値は温度とは異なります。暑さ指数25℃を超えると注意レベルとなり、数値が大きいほど、熱中症の危険性が高くなります。暑さ指数28℃以上では、厳重警戒から危険レベルとなり、全ての生活活動で熱中症が起こるリスクがあるとされています。

暑さ指数の見方は?

暑さ指数は、労働環境や運動環境において、熱中症の危険性を判断したり、その後の行動の方向性を定めることに使われています。

たとえば、(公財)日本スポーツ協会では運動時の熱中症予防の指針として「熱中症予防運動指針」があります。また、環境が生命に及ぼす影響に関する研究を行っている日本気象学会では「日常生活に関する指針」を公表しています。

日常生活に関する指針

暑さ指数が25℃以上で注意とされます。25~28℃は、激しい運動や重労働時に注意が必要とされ、28℃以上となると、すべての生活活動で熱中症が起こる危険性があるとされています。特に31℃以上の危険レベルでは、高齢者は安静にしていても熱中症になる危険性があるとしています。

運動するときの目安

暑さ指数だけではなく、気温にも注意が必要とし、ほぼ安全、注意、警戒、厳重警戒、運動は中止の5段階が示されています。たとえ暑さ指数が低くても、運動の負荷によっては熱中症の可能性があるとしています。水分や塩分の補給だけでなく、休憩のタイミングや、運動を中止する基準も示しています。たとえば、気温が24℃未満、暑さ指数21℃未満はほぼ安全レベルですが、マラソンなどでは熱中症が発生する可能性があるとされています。また、気温35℃以上、暑さ指数31℃以上では、運動は原則中止としています。

暑さ指数はどこでチェックできるの?

いまの暑さ指数を知りたい場合は、環境省のサイトにアクセスしましょう。暑さ指数を知りたい地点を選択すれば、ピンポイントの情報が得られます。駐車場や住宅地、体育館といった場所での情報や、子どもの慎重を考慮した指数もクリックするだけで知ることが可能です。

暑さ指数が基準値を超えそうなときの対処法は?

暑さ指数が基準値を超えるとき、熱中症を引き起こす可能性が高まっています。予防するためには、十分な睡眠をとって体調を整えるのはもちろん、喉が乾く前から水分を補給することが必要です。また、暑さ指数は、屋外に比べ屋内や木陰、冷房のきいた場所では低くなります。可能であれば暑さ指数が低い場所に移動しましょう。氷や冷たいおしぼり、シャワーなど、体を冷やすことのできるものを準備してください。活動時間を短くすることや、通気性の良い服を着用することも大切です。

また、熱中症にはできるだけ早く対応することが大切です。熱中症を疑うような体調不良がみられたときは、涼しい環境で身体を冷やします。意識がない場合や、自分で水分が飲めない場合、症状が良くならない場合は、すみやかに医療機関へ搬送しましょう。

おわりに:熱中症を重症化させないために暑さ指数も利用しながら、きちんと対策をとりましょう

暑さ指数は、熱中症を予防することを目的にアメリカで提案された指標です。日常生活だけではなく、スポーツや労働を安全に行うための基準として用いられています。熱中症は重症化すると命にも関わる症状です。暑さ指数をもとに、活動場所の検討や、運動量や作業量を調整するなどの対処を検討し熱中症の予防につなげましょう。

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