記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脱水状態で引き起こされる症状のひとつに頭痛があります。脱水による頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛といった、いわゆる一般的な頭痛と違いはあるのでしょうか?もし、脱水による頭痛が起きた場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
一般的な頭痛は、頭部の血管が拡張して起こるものと、首や肩の筋肉が緊張し続けることで起こるものがあります。
血管が拡張しておこる頭痛は、頭部にある血管が広がって神経を刺激することで痛みが起こります。片頭痛や群発頭痛、風邪や二日酔いでの頭痛があてはまります。ガンガン、ズキズキと表現されるような痛みが特徴です。
一方、頭がぎゅっと締め付けられている、重いなどといった痛みは、首や肩などの筋肉が強く緊張していることで起こります。無理な姿勢が続いたり、やパソコンやスマートフォンの画面を見続けて目が疲れたりしたときにも起こりやすくなります。こういった頭痛を緊張型頭痛といいます。
ただし、頭痛の原因はさまざまであり、女性については月経周期と関連している頭痛もあります。また、脳腫瘍やくも膜下出血など命に関わる脳の病気が原因となって起こる頭痛もあるため、自分で判断するのが難しい症状といえます。
人間のからだは、年齢にもよりますが50~70%が水分です。血液や消化液、汗、唾液、粘液などの体液は、からだの機能が正常に働くために必要です。たとえば、夏の暑さにおいては、汗をかくことで体温を下げて一定の体温を保とうとしています。このとき、失われた水分を補給しないと、体液が少なくなって体温が高くなり、だんだんと身体が動きにくくなっていきます。
体内の水分が失われると、血液中の水分が少なくなることで血液が濃くなります。からだは、血流を保つために血管を拡張しようとするため、神経を刺激して頭痛が起こりやすくなります。また、脳のまわりや脊髄には、髄液という液体が流れています。髄液は脳の内側にある脳室で1日に700mlほど生産されています。脱水によって髄液の産生が減少すると、頭痛が起こるといわれています。
脱水では、のどの乾きや食欲不振、頭痛やめまい、発熱、ぼーっとするといった症状が起こり、さらに重篤になるとけいれんや意識消失が起こり、最悪の場合は死に至ることもあります。しかし、こうした症状は脱水がある程度進まないと起こりにくく、夏以外の季節や、激しい運動をしていない状態でも起こります。
また、子どもや高齢者では脱水が起こっていることに気がつかないことも多いものです。目立った症状が起こっていなくても、尿が少なかったり、濃い色の尿が出ているというときには脱水を疑うサインです。
脱水は、日頃から対策をしたり、たとえ起こっても早い段階で対処をすれば、重症化を防ぐことにつながります。
人間のからだは、尿や便、汗や呼吸などで、1日に2~3リットルの水分を失っています。夏や、活動量の高い仕事やスポーツをしている人は、さらに水分が失われています。脱水を予防するためには、失われた量の水分を補給することが必要です。一般的には食事などで補給する水分に加えて、約1~1.5リットルの水分補給が必要とされています。たとえのどが渇いていなくても、こまめに水分をとるようにしましょう。入浴や睡眠で水分は失われやすいため、入浴前後や睡眠の前後にも、コップ1杯程度の水分補給をしましょう。また、汗をかいたときには、塩分も一緒に失われます。特にスポーツや仕事で大量の汗をかくような人は、塩分の補給も意識しましょう。
夏に注意したいのがアルコールです。アルコールを摂取すると、アルコールを分解するために体内の水分が使われ、さらに尿量も増えるため脱水につながります。飲み過ぎには注意し、飲酒後には水分補給をすることが必要です。
頭痛にはさまざまな原因がありますが、脱水も原因のひとつです。体内の水分が失われていくと、からだの機能が正常に働かなくなっていきます。脱水はこまめな水分補給で予防をしたり、早期に気づいて対処をしたりすることで重症化を防ぐことができます。尿の色や量に注意し、頭痛が現れたときには脱水の可能性も疑い、適切に対処しましょう。